ルワンダ・ハニーという銘柄のコーヒーを行きつけの自家焙煎珈琲店でいただいた。産地はアフリカのルワンダ。豆の焙煎度は中深煎り。味は、ブドウを思い起こさせるフルーティーな香りと、チョコレートのようなコクのあるコーヒーだった。
ルワンダ・ハニー
ルワンダ・ハニーの「ハニー」は、ハチミツのように甘いコーヒー、という意味ではない。「ハニープロセス」(honey process)と呼ばれる精製方法(※1)で処理された豆のことをいう。
※1 ハニープロセス……チェリーと呼ばれる実の果肉を剥(む)いたときに残るぬめりを残したまま果肉を乾燥させる方法。ハニープロセスはスペイン語で「ミエル・プロセソ」(miel proceso)と言い、ミエルは「ハチミツ」を意味することから、ハニー(ミエル)プロセスと呼ばれるようになった。
ルワンダのコーヒー生産量
ルワンダのコーヒーは国の経済を支える主要な農産物のひとつだが、2021年の生産量は世界31位。アフリカでは10位(※2)だが、近年、高品質な豆が注目されている。
アフリカのコーヒー豆の生産量
アフリカのコーヒー豆の生産量を調べた。1位はコロンビア、2位はエチオピア、3位はウガンダ。国別ランキング(ベスト10)は以下のとおり。
- コロンビア
- エチオピア
- ウガンダ
- タンザニア
- コンゴ
- ギニア
- カメルーン
- ケニア
- イエメン
- ルワンダ
出典:コーヒー豆の生産量(※2)
※2 グローバルノート「コーヒー豆の生産量」(https://www.globalnote.jp/post-1014.html)(2023年5月21日閲覧).
ルワンダのコーヒーの歴史
ルワンダの場所[出典]ウィキペディア
ルワンダのコーヒーの歴史についてもふれておきたい。『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典』(※3)からルワンダの歴史について書かれている箇所を引用・抜粋して紹介する。
1904年、ドイツ人宣教師が初めてルワンダにコーヒーを持ち込んだ。しかし1917年までは輸出できるほどの量を生産してこなかった。第一次世界大戦後、国際連盟の要求により、ドイツはルワンダの植民地統治から手を引き、ベルギーが引き継いだ。[中略]
1990年まで、コーヒーはルワンダで最も価値のある輸出品だった。しかし、1994年に国内で起きた大規模な集団虐殺によって100万人近くが犠牲になり、その後10年間にわたってコーヒー産業に大打撃を与えた。[中略]
(その後)コーヒーはルワンダの復興のシンボルとなった。[中略]高品質なコーヒーの生産という目標も定まった。政府はコーヒー取引に積極的になり、世界中のスペシャルティコーヒーの買い手がルワンダに興味を持つようになった。引用元: 『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典』(※3)
※3 ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社「ルワンダ」p.146.
豆の特徴
豆の品種はブルボン種。粒も大きく肉厚。形も大きさもそろっている。中深煎りで焙煎しているので、薄い茶色を帯びている。日本の伝統的な色でいうなら、栗色(くりいろ)に近い。
ルワンダハニーのコーヒー麻袋
ルワンダハニーのコーヒー麻袋。「RWANDA ARABICA COFFEE MUSASA HONEY」と印刷されている。麻袋の中にはルワンダハニーの生豆が 30キログラム入っている。日本から 1万1,770キロメートル離れたルワンダから船便で運ばれてきた。袋の中には生産者さんたちの思いが詰まっている。
ハンドドリップ
マスターが、ルワンダハニーをハンドドリップする様子を YouTube ショート動画に収めた(上の動画)。中深煎りなので粉もきれいに均等にふくらんでいく。おいしいコーヒーがいただけそうだ。
味の感想
まずはひとくち。ぶどうのようなフルーティーな香りがした。やさしい酸味もかすかに感じる。ほどなくすると、カカオのような苦味が出てきた。風味がいい。最後は、チョコレートのようなコクのある甘みが楽しめた。
ひとことでいうと「コクのある」コーヒーだった。
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ノリタケ YOSHINO ヨシノ
カップ&ソーサーは、ノリタケのヨシノ(YOSHINO)を選んだ。「ヨシノ」は、桜の名所として知られる奈良県・吉野山(よしのやま)から命名された。カップに描かれた花は吉野山の桜、ソーサーの緑色は裾野の緑をイメージしてデザインされている。
今回、コーヒーをいただいたのは、越谷市下間久里の自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。農家の納屋を改造して造った店の雰囲気にぴったりのカップ&ソーサーだ。
後記
ルワンダと聞くと、われわれ昭和世代は、どうしても1994年の大量虐殺(ジェノサイド)を思い出してしまう。大量虐殺の影響で、コーヒーの生産量は最盛期の半分以下に落ち込んでしまったという。
不幸な歴史はなにもルワンダだけではない。日本も同じだ。こうして今、ルワンダのコーヒーを日本製(ノリタケ)のカップで飲める平和な時代に生きていることの喜びをかみしめながらコーヒータイムを過ごした。
ルワンダ産ホワイトトップ
別の日、ルワンダ産のホワイトトップというコーヒーをいただいた。焙煎度はルワンダハニーと同じ中深煎り。ホワイトトップの感想は別記事でお伝えしたい。
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取材場所
本記事の取材場所は越谷市下間久里(しもまくり)にある行きつけの自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真は珈家のカウンター席で撮影させていただいた。
珈家は、2015年3月1日(日)に埼玉県越谷市にてオープンしたコーヒー専門店(コーヒーの提供&焙煎豆の販売)です。生家が農家であるというロケーションを生かしながら、自宅横の家屋を改築し古民家カフェを開きました。皆様のご来店を心よりお待ちしております。
参考資料
本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。
・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.