中浅煎りで焙煎したイエメンのバニーマタルというモカコーヒーを行きつけの自家焙煎珈琲店で飲んだ。モカ独特の香りとマスカットを思わせる甘酸っぱい酸味が特徴のコーヒーだった。

イエメン・バニーマタル

イエメン・バニーマタル・コーヒー

今回いただいたコーヒーは、イエメン・バニーマタル。モカ(※1)マタリ・バニーマタルとも呼ばれる。バニーマタル(Bani Mattar)は生産地の名前。イエメン北西の高地に位置し、イエメンの中でも高品質なコーヒーが栽培されている。

※1 「モカ」(mocha)という用語は、もともとは、コーヒーを出荷した、イエメンの港の名前(モカ港)に由来する。「moka」ともつづられ、イエメン産コーヒーの呼称になった。

バニーマタルとは

コーヒー豆袋|イエメン・バニーマタル

バニーマタルは、アラビア語で「雨の子孫たち」を意味し、その名のとおり雨が多く、霧が発生するこの地方では、段々畑で、コーヒー栽培が行なわれている。
 
まれに、金色の豆が入っていることから、「ゴールデン・マタリ」とも呼ばれる。
 
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豆の特徴

イエメン・バニーマタル|中浅煎り

豆は原生種のため、ややふぞろいだが、きれいな豆だ。中浅煎りで焙煎しているので、薄い茶色を帯びている。日本の伝統色でいうと江戸茶(えどちゃ)に近い。精製方法はナチュラル(※2)

※2 収穫したコーヒの実を、水を使わずに乾燥させて脱穀する方法。乾燥式とも呼ばれる。

イエメンのコーヒー生産量

イエメンルのコーヒー生産量は世界26位(※3)。高品質な豆で注目されている。ちなみに25位はパプアニューギニア、27位はエルサルバドル。

※3 (出典)グローバルノート「コーヒー豆の生産量」(https://www.globalnote.jp/post-1014.html)(2024年4月12日閲覧).

ハンドドリップ

イエメン・バニーマタルをハンドドリップ

マスターがイエメン・バニーマタルをハンドドリップする様子を四枚の写真に収めた。中浅煎りなので、深煎りのような粉のモコモコ感はないが、きれいに均一に膨らんでいく。

味の感想

イエメン・バニーマタル

まずはひとくち。一瞬、モカ独特の土臭さというか、藁(わら)を思わせる香りがした。この香りを「ワイルド」と、表現されることもあるが、この土臭さが、好き嫌いの分かれ目ともいえる。
 
ほどなくすると、芳醇(ほうじゅん)で、やわらかいコクが出てきた。高級感がただよう風味だ。最後は、マスカットを思わせる甘酸っぱい酸味に変わった。
 
味の特徴は、甘酸っぱい酸味が楽しめるコーヒー、といったところか。
 
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ノリタケ トレフォリオゴールド

ノリタケ トレフォリオゴールド

カップ&ソーサーは、ノリタケ4945トレフォリオゴールド。幸運を呼ぶ四つ葉のクローバーをモチーフにしたデザインは、高級感ただようコーヒータイムを演出してくれる。

後記

生け花とコーヒー

イエメンのコーヒー事情について調べた。出典は『新版 THE COFFEE BOOKn』(※4)。以下、引用・抜粋。

アラビア半島の南西端に位置するイエメンは、アフリカ大陸以外のほかの国に伝播するはるか昔にコーヒー栽培を開始。モカという小さな港町で商業目的のコーヒー輸出がはじめて確立されました。
 
一部では野生で生育されていますが、主要な産地では、古い時代からのティピカやエチオピアの品種を栽培しています。
 
「品種名=地名」であることが多く、品種の起源の特定は簡単ではありません。

※4 アネット・モルドヴァ著/丸山健太郎監修(2021)『新版 THE COFFEE BOOK』誠文堂新光社「イエメン」109頁

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今回飲んだコーヒーは、イエメンのモカだが、エチオピアのモカ・コーヒーについては本ブログの別記事で紹介している。

取材場所

本記事の取材場所は埼玉県越谷市下間久里(しもまくり)にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真及びハンドドリップの動画は珈家のマスターの許可を得て撮影した。

参考資料

本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。

参考文献

・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.
・アネット・モルドヴァ著/丸山健太郎監修(2021)『新版 THE COFFEE BOOK』誠文堂新光社.