インドネシアのマンデリンコーヒーを行きつけの自家焙煎珈琲店でいただいた。焙煎度は中深煎り。カップ&ソーサーはノリタケのホワイトパレスで。奥深い苦味と芳醇なコクが特徴のおいしいコーヒーだった。

マンデリンコーヒー

マンデリンコーヒー

マンデリンの産地はインドネシア。スマトラ島北部のアチェ州で栽培されているアラビカ種だけが「マンデリン」の銘柄を名乗れる。マンデリンは地名ではない。スマトラ島に暮らす「マンダイリン族」に由来している。
 
インドネシアは世界有数のコーヒー大国でもある。ブラジル、ベトナムに次いで、生産量は世界3位(※1)を誇る。

※1 グローバルノート「コーヒー豆の生産量」(https://www.globalnote.jp/post-1014.html)(2023年5月21日閲覧).

精製方法

マンデリンの精製方法も特徴的で、生豆の状態で乾燥させるスマトラ方式という生産処理がなされている。スマトラ方式によって精製されたマンデリンは、独特の力強い香りと深いコクが引き出されると言われているが、意見は分かれるようだ。
 
ジェームズ・ホフマン(2020)は、「(スマトラ方式については)コーヒー業界内に根強い反対意見がある。コーヒー本来のフレーバーよりも強すぎて、[中略]インドネシア産コーヒーの本来の味を感じることができないという声も多い」と述べている。(※2)

※2 ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社「スマトラ式」p.37.

豆の特徴

マンデリンのコーヒー豆|中深煎り

豆は楕円形。肉厚というよりもやや扁平。形はそっている。きれいな豆だ。中深煎りなので焦げ茶色をしている。日本の伝統的な色でいうなら、煙草色(たばこいろ)または江戸茶(えどちゃ)に近い。

ハンドドリップ

マスターがハンドドリップする様子を YouTube ショート動画に収めた(上の動画)。中深煎りなので粉もきれいにゆっくりふくらんでいく。7年近くカウンター席でマスターのハンドドリップする姿を見ているが、このふくらみ方は、おいしいコーヒーの特徴だ。

味の感想

マンデリンコーヒー

まずはひとくち。芳醇なコクだが、土臭さのようなものを感じる。これはスマトラ式で精製されたコーヒーの特徴ともいわれている。このひとくちめの土臭さを「おいしい」と感じるか「まずい」と感じるかは、好みの問題だが、意見が分かれそうだ。
 
中盤からは、スパイシーな香りと、ほのかな酸味が感じられ、奥深い苦味と芳醇なコクが出てきた。後半に、まろやかな甘みが口の中に広がった。
 
ひとことでいうと「芳醇な」コーヒーだった。



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ノリタケ ホワイトパレス

ノリタケ・ホワイトパレス

コーヒーカップ&ソーサーは、ノリタケのホワイトパレスを選んだ。淡いベージュの地色に白盛り技法を使って施された唐草模がなんとも上品。金の縁取りが、リッチなコーヒータイムを演出してくれる。

後記

コーヒーと生け花

マンデリンというのは、どこの国のコーヒーか、けっこう知らないで飲んでいるヒトも多い。インドネシアだというと、意外な顔をされたりもする。地名や港の名前だと思っているヒトもいる。
 
ま、そんなことを知らなくても別にコーヒーの味が変わるわけではないので、どうでもいい話ではある。うんちくよりも自分の好きなように飲むのがいちばんだ。

コピ・ルアック

コピ・ルアック

インドネシアのコーヒーには、マンデリンのほかに、「コピ・ルアック」(コピ・ルアク)というコーヒーもあるが、「コピ・ルアック」を飲んだ感想は別記事で紹介している。

焙煎したてのマンデリン

焙焙煎したてのマンデリン

後日、マスターが、マンデリンを焙煎するところを見せてくれた。上の写真はちょうど焼き上がったばかりのマンデリン。焦げた香ばしい香りが漂ってきた。

珈家のマスター

焙煎したばかりの豆は、味に角が立っているので、お店に出すのは、味が落ち着いてから。マンデリンの場合は二日後ですね。

追記

マンデリンコーヒー

三日後、飲みごろになったマンデリンをいただいた。焙煎した豆の色やハンドドリップのときの粉の膨らみ方は、焙煎初日と変わっていないが、味はどんなふうに変化しているのだろうか。
 
マスターの話によると、「マンデリンは中深煎りで焙煎しているが、1ハゼ(※3)手前で、軽く焼いている」とのこと。あまり深く焼いてしまうと、マンデリン特有の甘さが消えてしまうそうだ。

※3 コーヒーの生豆を焙煎すると、途中で、パチパチと破裂音がする。これを「ハゼ」と呼ぶ。最初のハゼを「1ハゼ」、2度目を「2ハゼ」と呼び、焙煎度の目安にする。

飲んだ感想

マンデリンコーヒーとノリタケのカップ&ソーサー

飲みごろを迎えたマンデリン。まずはひとくち。独特な土臭さがある。この香りはマンデリン独特のものだ。ほどなくするとコクとうまみが出てきて、土臭さがスパイシーな香りに変化してきた。最後は、チョコレートのようなまろやかな甘味も楽しめた。
 
マンデリンを「おいしい」か「おいしくない」かを判断するのは好みの問題なので難しいが、土臭さをスパイシーと感じるかどうかが、評価の分かれ目のような気がする。

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取材場所

本記事の取材場所は越谷市下間久里(しもまくり)にある行きつけの自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真は珈家のカウンター席で撮影させていただいた。

参考資料

本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。

参考文献

・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.