タイのドイチャンコーヒーを行きつけの自家焙煎珈琲店で飲んだ。焙煎度は中深煎り。すっきりして飲みやすいというのが飲んだ感想。苦味はなく、ミルクチョコレートのようなやわらかな甘みが楽しめた。
ドイチャンコーヒー
ドイチャン(DOI CHANG)とは、タイ北部にある村の名前。高品質なタイコーヒーの生産地として知られている。
ドイチャンコーヒー財団の公式サイトによると、ドイチャン村は「標高1,000~1,700メートルに位置しており、コーヒーノキ栽培条件には理想的な土壌と綺麗な山水に加えて、雨季、乾季、寒暖差など気候条件も兼ね備えている」(※1)という。
※1 DOI CHAANG COFFEE「ドイチャンコーヒーとは」(http://doichaang-coffee.com/about-us/doichaangcoffee/)(2023年1月28日閲覧).
ドイチャンコーヒーの歴史|動画
豆の特徴
豆の品種はアラビカ種。大粒で肉厚。焙煎度は中深煎りなので、黒みを帯びた茶色をしている。ドイチャン村は、高品質のアラビカコーヒー豆を栽培する世界有数の地域として、2015年8月に欧州連合(EU)の地理的表示(地理的財産)に登録された。
ハンドドリップ
マスターがドイチャンコーヒーをハンドドリップする様子を YouTube ショート動画に収めた(上の動画)。中深煎りなので、粉のふくらみもきれいだ。モコモコとふくらんでいく様子を見るのもカウンター席での楽しみのひとつ。
味の感想
まずはひとくち。やわらかなコクだ。ほどなくすると、舌先にほんのりと甘みがのってきた。苦味はない。酸味もほとんど感じない。後半は、やわらかな甘みがずっと続いた。
ひとことでいうと「飲みやすいコーヒー」だった。
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ノリタケ ジョージアンターコイズ
カップ&ソーサーは、ノリタケのジョージアンターコイズ(GEORGIAN TURQUOISE)4857。ターコイズブルーと金糸のデザインが高級感をかもしだしている。タイ王室ブランド「ドイチャンコーヒー」との相性も抜群。
後記
タイのコーヒーは、今回はじめていただいた。タイでコーヒーが生産されているとは知らなかった。そこで、タイのコーヒー事情と歴史を調べた。
タイのコーヒーの歴史については、1904年、イスラム教徒がメッカ巡礼の帰りに、インドネシアでロブスタ種の苗を手に入れ、タイ南部の土地に植えたという説が有力だ。また1950年代に、イタリアからの移民がアラビカ種を持ち込んで北部に植えたという説もある。
真偽のほどははっきりしないが、どちらにしろコーヒーが作物としてタイの経済に貢献するまでになるには、1970年代に入ってからのことだ。
1972年から1979年にかけて、政府はタイ北部でアヘンの原料として盛んに栽培されていたケシの代わりにコーヒーを栽培するよう住民を促すため、試験プロジェクトを立ち上げた。
コーヒーは収益性の高い換金作物で、アヘン栽培を止めても乗り換える価値があると考えられていた。このプロジェクトのおかげでタイのコーヒー産業の幕が開くことになる。引用元: 『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典』(※2)
※2 ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社「タイ」182頁
今回いただいたドイチャンコーヒーの生産地であるドイチャン村は、かつては、ゴールデントライアングル(黄金の三角地帯)と呼ばれ、世界最大のケシの栽培地のひとつだった。それが、今では世界有数の高品質のアラビカコーヒー豆の栽培地として認められるまでになった。
ドイチャンコーヒーのやわなかな甘みの中に、苦い歴史を垣間見た。
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取材場所
本記事の取材場所は埼玉県越谷市下間久里(しもまくり)にある行きつけの自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真は珈家のカウンター席で撮影させていただいた。
参考資料
本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.
・DOI CHAANG COFFEE(http://doichaang-coffee.com/)2023年1月28日閲覧.