ハワイコナコーヒーを行きつけの自家焙煎珈琲店でいただいた。焙煎度はミディアムローストと呼ばれる中煎りの前半。カップ&ソーサーはノリタケのカーニバル・アップルグリーン。ハワイコナの味は舌にまとわりつくような上品な香りが特徴のコーヒーだった。

ハワイコナ

ハワイコナ

今回いただいたコーヒーは、ハワイコナ。ハワイ島のコナ地区で栽培されたコーヒーだ。生産量が少なく、希少価値が高いため、ジャマイカのブルーマウンテンと並ぶ高級豆として知られている。「アメリカのホワイトハウスの晩餐会で出されるコーヒーとしても有名」(※1)

※1 西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社「ハワイコナ」p.51.

ブランド名は厳しく管理

ハワイコナのブランドは厳しく管理されている、ということが『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典』に載っている。以下、引用、抜粋。

ハワイ島のコナ地区は、長年にわたるコーヒー生産によって名声を確実なものにしたが、コーヒーの偽装表示を引き起こす原因ともなった。現在は、島の法規制により、コナ・ブレンドと名乗る場合はコナコーヒーの配合量を必ず示さなければならないし、「100%コナコーヒー」の商標も注意深く管理されている。

※2 ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社「米国ハワイ州」pp.238-239.

豆の特徴

ハワイコナ|ミディアムロースト

品種はティピカ種。アラビカ種の一品種。今回の豆は中煎りの前半(ミディアムロースト)で焙煎しているので、色は煙草色(たばこいろ)というか、薄い茶色を帯びている。豆の等級は「No.1」。

豆の等級

ハワイコナの生豆は、粒の大きさや欠点豆が含まれる割合によって等級分けされている。UCC のホームページにハワイコナコーヒーの等級についての解説が載っている。以下、引用、抜粋。

ハワイコナコーヒーの生豆は、品質の高いものから「エクストラファンシー」「ファンシー」「No.1」「セレクト」「プライム」に等級分けされます。プライムまでが「ハワイコナコーヒー」として使用されることを許されます。プライムより下の等級の生豆は、コナ地区で生産されていても「ハワイアンコーヒー」と呼ばれて区別されます。

焙煎度に試行錯誤

ハワイコナ焙煎豆

今回の取材場所は、越谷市下間久里(しもまくり)の自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。珈家では、今までハワイコナは「エクストラファンシー」を使っていたが、エクストラファンシーが入荷できなくなってしまったので、今回は「No.1」をはじめて仕入れた。
 
マスターの話によると、豆のグレードや栽培地区が違ってしまうと、焙煎度の調節が必要とのこと。
 
エクストラファンシーを使っていたときは中煎りの後半(ハイロースト)で焙煎をしていたが、今回の「No.1」は、中深煎り(シティロースト)が標準の焙煎度なので、中深煎りで焙煎してみたが、どうも納得でない。
 
これじゃお客さんには出せない、ということで、次に、中煎りの後半で焼いてみたが、これもいまひとつしっくりこない。

ようやく納得いく仕上がりに

焙煎機

珈家の焙煎機|マイスター 2.5

何回か試行錯誤を重ねて、ミディアムローストと呼ばれる中煎りの前半で焼いてみたところ、いちおうマスター自身でも納得できるというか、これならお客さんに出せるかな、という焼き目(焙煎ポイント)までもっていけた、という。
 
そのあと、微調整を加えて焙煎したのが、今回の豆。珈家のマスター渾身のハワイコナ・No.1 だ。

ハンドドリップ

マスターがハワイコナをハンドドリップする様子を YouTube ショート動画に収めた(上の動画)。試行錯誤の末、焼きあげたハワイコナ。期待に応えてコナの粉がきれいにふくらんでいく。

味の感想

ハワイコナをノリタケのカップでいただく。

ひとくちめは上品な香りが鼻から抜けた。香ばしい。冷めてくると、とろみのある複雑な味に変わった。甘み・酸味・コクのバランスがいい。かすかに上品な苦味も感じる。飲み終えたあとも舌にまとわりつくような上品な香りが、いつまでも口の中に残った。
 
ひとことでいうと「上品な香りが特徴」のコーヒーだった。



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ノリタケ カーニバル アップルグリーン

ノリタケ カーニバル アップルグリーン

カップ&ソーサーは、ノリタケのカーニバル、色はアップルグリーンを選んだ。ポップなカラーが人気のシリーズで、金の縁取りがストライプ柄を上品に引き立てている。気分もウキウキしてくるコーヒーカップだ。

後記

生け花とコーヒー

今回は、焙煎の難しさをマスターからうかがった。ひとくちに「中煎り」といっても「前半」(1ハゼ)と「後半」(2ハゼ)というポイントがあって、10秒違ってしまうと、同じ豆でもまったく別の香りと味になってしまうとのこと。

珈家のマスター

5秒違っただけでも風味は変わってしまいます。


ここが難しいところでもあり、焙煎の楽しいところでもあるそうだ。

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取材場所

本記事の取材場所は埼玉県越谷市下間久里(しもまくり)にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真及び動画の撮影は珈家のマスターの許可を得たうえで行なった。

参考資料

本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。

参考文献

・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.