カリビアンブルーというハイチ産のコーヒーを行きつけの自家焙煎珈琲店で飲んだ。焙煎度はシナモンロースト(中浅煎り)。ナッツ系の風味とトロピカルフルーツを思わせる酸味が特徴のコーヒーだった。

カリビアンブルー

カリビアン・ブルー・コーヒー

今回いただいたコーヒーは、ハイチの中央高原で生産されたカリビアンブルー。一度は市場から消えた「幻のコーヒー」で、カリブ海の秘宝コーヒーと呼ばれている。
 
コーヒー豆の販売元であるセラード珈琲のホームページに「カリビアン・ブルー」(CARIBBEAN BLUE)についての商品詳細が載っている。以下、引用、抜粋。

カリビアン・ブルーは[中略]2014年から取り組み始め、現在では登録農家数も680名となり収穫から精製、乾燥におけるまで毎年改善を繰り返し品質を底上げしています。
 
ハイチでは珍しいシェード栽培(※1)を採用し、コーヒーの品質だけでなく森林保全の役割も兼ねています。農家等の努力が身を結び[中略]名実ともにハイチ最高峰のコーヒーを生産し続けています。

※1 コーヒーの木は、日射量が多すぎるとダメージを受けやすいので、バナナやマンゴーなど生産性のある樹木を植えて、適度な日陰をつくり、コーヒーの木を直射日光から守る栽培方法のこと。自然環境も保てる。

豆の特徴

ハイチ・カリビアン・ブルー|シナモンロースト

豆はブルーマウンテンと同品種。ジャマイカのブルーマウンテンにひけをとらないと評されている。精製はウォッシュド(水洗式)なので、異物や欠点豆が少なく、形も粒もよくそろっている。
 
焙煎度はシナモンロースト。中煎りと浅煎りの中間。色は薄い茶色。日本の伝統的な色でいうなら黄櫨色(はじいろ)または煙草色(たばこいろ)に近い。
 
パナマをはじめカリブ海近辺・中米地域のコーヒーは豆が小粒なので、深煎りよりも浅煎りや中煎りの焙煎が適しているといわれている。

ハンドドリップ

マスターがハンドドリップする様子を YouTube ショート動画に収めた(上の動画)。シナモンロースト(中浅煎り)なので粉のふくらみは弱いが、きれいに均等にふくらんでいく。

味の感想

ハイチ・カリビアンブルー|シナモンロースト

ひとくちめは、ほんの一瞬、わらのような香りがしたが、すぐにナッツ系の香ばしい風味に変わった。
 
ほどなくすると、サワークリームのようなトロッとした酸味が出てきて、後半は、南国フルーツのような酸味になった。ライチを思わせる酸味とほのかな甘みもある。飲み終わったあとも、トロピカルフルーツ系の酸味と風味が口の中にずっと残った。
 
ひとことでいうと「酸味の変化が楽しめる」のコーヒーだった。



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ノリタケ カーニバル ライトブルー

ノリタケ カーニバルー ライトブルー

カップ&ソーサーは、カリビアンブルーのイメージに合わせて、ノリタケのカーニバルシリーズの中からライトブルーを選んだ。
 
パステルブルーと白のストライプが、カリブ沿岸の透きとおった青い海と白い砂浜を思わせ、南国のビーチにいるようなコーヒータイムが楽しめた。

後記

生け花とコーヒー

ハイチは、1804年の革命で、世界初の黒人による共和制国家となったが、革命以後、国内の政治的混乱や災害の影響もあって、一時は栄えたコーヒー産業は衰退の傾向にある。

ハイチのコーヒー豆生産量

パプアニューギニアのコーヒー豆生産量は、世界第30位(※2)。29位はイエメン、31位はルワンダ。

※2 グローバルノート「コーヒー豆の生産量」(https://www.globalnote.jp/post-1014.html)(2023年4月27日閲覧).

ハイチのコーヒー事情

ハイチののコーヒー事情について調べた。出典は『新版 THE COFFEE BOOK』(※3)。以下、引用・抜粋。

ハイチは、1725年にコーヒー栽培を開始。生産量が世界全体の半分に達していた時代もありました。政治的な混乱と自然災害に阻まれ、今では産地が激減。熟練の小規模農家もほとんどいません。
 
国内の消費の多さも状況をいっそう深刻にしています。ただ、2000メートル級の標高と日陰が豊富な森林が生い茂り、大きな可能性を秘めています。

※3 アネット・モルドヴァ著/丸山健太郎監修(2021)『新版 THE COFFEE BOOK』誠文堂新光社「ハイチ」141頁

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取材場所

本記事の取材場所は埼玉県越谷市下間久里(しもまくり)にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真及び動画の撮影は珈家のマスターの許可を得たうえで行なった。

参考資料

本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。

参考文献

・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・アネット・モルドヴァ著/丸山健太郎監修(2021)『新版 THE COFFEE BOOK』誠文堂新光社.