ブラジル・山口農園産のコーヒーを行きつけの自家焙煎珈琲店で飲んだ。焙煎度は中深煎り。カップはノリタケのヨシノ。日本人の生産者がブラジルの農園で、伝統的な製法にこだわって仕上げたコーヒーは、なんともやさしい味がした。

山口農園コーヒー

山口農園コーヒー

今回いただいたのは、ブラジル・ミナスジェライス州セラード地域の山口農園で栽培されているコーヒー。農園は山口カルロス彰男氏と日系人生産者・中尾家が共同で経営。高品質で希少価値も高い。

豆の特徴

山口農園|中深煎り

豆はやや大きめ。粒の形もそろっている。中深煎りなので色は黒みを帯びた茶色をしている。山口農園では、ブルボン(※1)と呼ばれる品種をブラジルの伝統的な製法である自然乾燥(※2)で精製している。

※1 ティピカと呼ばれる品種の豆が、マダガスカル島の東にあるブルボン島(現・レユニオン島)で突然変異して生まれた品種。希少価値が高く珍重されている。

※2 コーヒー豆の精製(生産処理)方法は二種類に大別される。ひとつは、水を使わずに乾燥させて脱穀させる乾燥式(ナチュラル)。もうひとつは、収穫した果実を大きな水槽に入れて異物などを取り除いてから乾燥・脱穀する水洗式(ウェッジウッド)

生産者のこだわり

生産者の山口カルロス彰男氏は、「現在ブルボンとして販売されるほとんどがブレンドであり、純粋にブルボン100%と呼べるものは少量しかありません」「私はブラジルの伝統的なナチュラル(自然乾燥)製法にこだわり[……]後世にしっかりと残していきたい」と述べている。(※3)

※3 セラード珈琲「山口農園」(https://www.cerrad.shop/view/item/000000000155?category_page_id=ct11)(2022年12月14日閲覧).

ハンドドリップ

マスターがハンドドリップする様子を YouTube ショート動画に収めた(上の動画)。中深煎りなので粉の膨らみもきれいだ。カウンター席で、自分が注文したコーヒーが、お湯を注がれ、ジュワ~っと膨らんでいく様子を眺めるも楽しみのひとつ。

味の感想

山口農園コーヒー

ひとくちめはフルーティーな酸味を感じた。少し冷めると芳醇(ほうじゅん)なコクが出てきて、かすかにナッツ系の香りもする。最後は、良質なカカオというかチョコレートのような甘みに変わった。
 
ひとことでいうと「やさしい」味のコーヒーだ。

焙煎した店主の話

山口農園コーヒー

もう少し深めで焙煎すると、苦味が出てくるので、山口農園の特徴である『やさしさ』を表現するなら、このあたり(中深煎り)がベストかなぁ……。


 
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ノリタケ YOSHINO ヨシノ

ノリタケ YOSHINO ヨシノ

カップ&ソーサーは、ノリタケのヨシノ(YOSHINO)にした。桜の名所として知られる奈良県・吉野山から名付けられたカップには、オリエンタルな唐草文様で表現された吉野山の桜が咲き誇っている。
 
ちなみに「ソーサーの緑色は吉野山の裾野の緑をイメージ」(※4)した絵柄になっている。

※4 ノリタケ「ヨシノ アメリカンカップ&ソーサー」(https://tableware.noritake.co.jp/c/series/s_BoneImari/series_026/4975946074773)(2022年11月26日閲覧).

後記

生け花とコーヒー

今回いただいたコーヒーはブラジルの山口農園。選んだカップ&ソーサーは、桜の名所・吉野山から名をとったノリタケのヨシノ。
 
いわば、ブラジルの山口さんと日本の吉野さんをお見合いさせたともいえる。席に座った二人は、最初はお互いに、はにかんでいたが、最後は打ちとけて、結婚を前提におつきあいしていく、ということにあいなった。
 
どうやら吉野さんは、山口さんのやさしさと、ほのかな甘みに魅入られた模様。
 
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取材場所

本記事の取材は埼玉県越谷市下間久里(しもまくり)にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)でおこなった。写真及び動画の撮影は珈家のマスターの許可を得たうえで行なった。

参考資料

本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。

参考文献

・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.