タンザニアのニティン農園で生産されたコーヒーをなじみの自家焙煎珈琲店でいただいた。焙煎度は中煎りと中深煎りの二種類。両方を飲み比べた。中煎りは「なめらか」で、中深煎りは「濃厚」な味わいだった。
タンザニアAA・ンゴロンゴロ地区・二ティン農園
今回いただいたのは、タンザニアの北部ンゴロンゴロ地区にあるニティン農園で生産されたコーヒー。
タンザニア北部にある自然保護地域で、1979年、世界自然遺産に登録された。人類の祖先とされるホモ・ハビリスの化石や360万年前に直立二足歩行していた原人の足跡の化石なども発見され、2010年に世界複合遺産として再登録された。
コーヒー豆の販売元、セラード珈琲のホームページに「タンザニアAA・ンゴロンゴロ地区・二ティン農園」についての商品詳細が載っている。以下、引用、抜粋。
ニティン(Nitin)農園は、肥沃な火山灰土壌と山の傾斜がもたらす風の流れ・水はけのよさ、そして伝統品種・ケント(Kent)(※1)を主体とした伝統的農法で、タンザニア屈指のコーヒーが丁寧に栽培されています。
引用元: セラード珈琲
※1 1920年代にティピカ系の豆をインドで品種改良してつくられた。ケントの名は品種改良した農園主の名前「ロバート・ケント」にちなんで名づけられた。
中煎り
今回は、中煎りと中深煎りの両方を飲み比べた。まずは中煎りから。
豆の特徴
豆の等級は「AA」なので、粒は大きい。タンザニアでは豆の等級を粒の大きさで「AA」「AB」に分けている。「AA」は大粒の豆で高品質に位置づけられている。中煎りなので色は薄い茶色、江戸茶(えどちゃ)に近い。
ハンドドリップ
中煎りなので粉の膨らみはそれほど大きくないが、均等にきれいに膨らんでいく。このあたりはハンドドリップするマスターの技の見せどころ。
ノリタケ×雲母唐長 角つなぎ 白
カップ&ソーサーは、江戸前期・寛永元年(1624)創業、日本唯一の唐紙屋・雲母唐長(きらからちょう)と、ノリタケのコラボ商品「角つなぎ」(白)。銀色に輝くカップの持ち手がなんとも雅(みやび)
味の感想
ひとくちめは、まろやかな酸味を感じた。つづいて甘みが口の中に広がってくる。中盤になるとまろやかなコクと鼻に抜ける香りも楽しめた。
ひとことでいうと「まろやかな風味」のコーヒーだった。
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中深煎り
続いて中深煎りをいただいた。
豆の特徴
中深煎りなので色は焦げ茶色。生豆は中煎りと同じなので粒も大きく形もそろっている。
ハンドドリップ
中深煎りなので粉の膨らみも大きい。よく膨らむ。ハンドドリップする様子を眺めるのは、浅煎りや中煎りよりも中深煎りと深煎りのほうが楽しい。
ノリタケ×雲母唐長 角つなぎ 黒
中深煎りのカップ&ソーサーは、中煎りと同じノリタケのコラボ商品「角つなぎ」で、色を「黒」にした。中煎りは「白」、中深煎りは「黒」をイメージして選んだ。
味の感想
中煎りは「まろやか」だったが、中深煎りは、ややすっきりしているが、「濃厚」な味わいだ。酸味・香り・コク・苦味、ともに上質。とくに「コク」は深みを感じた。
こちらはひとことでいうと「濃厚」なコーヒーだった。
後記
今回は同じ生豆を中煎りと中深煎りで焙煎したコーヒーをそれぞれ飲み比べたわけだが、焙煎度によって風味や香りがまったく違ってしまうのには驚いた。
マスターの話によると、豆の個性によって焙煎度を見きわめていくのが、焙煎の難しいところでもあり、楽しいところでもあるそうだ。
焙煎した同じ豆でも、日にちがたつにしたがって味もまた変わっていく。そういう意味では、マスターが常々言っているように「コーヒーの世界は一期一会」といえそうだ。
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取材場所
本記事の取材場所は埼玉県越谷市下間久里(しもまくり)にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真及び動画の撮影は珈家のマスターの許可を得たうえで行なった。
珈家は、2015年3月1日(日)に埼玉県越谷市にてオープンしたコーヒー専門店(コーヒーの提供&焙煎豆の販売)です。生家が農家であるというロケーションを生かしながら、自宅横の家屋を改築し古民家カフェを開きました。皆様のご来店を心よりお待ちしております。
参考資料
本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。
・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.