コロンビアのクレオパトラというコーヒーを行きつけの自家焙煎珈琲店でいただいた。焙煎度は中深煎りと中煎りの二種類。両方を飲み比べた。
クレオパトラ
クレオパトラの生産地は、コロンビアの南西に位置するバジェ・デル・カウカ県。コロンビアの中でもっとも肥沃な土地のひとつで、北部地方は、ユネスコの世界遺産「コロンビアのコーヒーの文化的景観」の一部に認定されている。
名前の由来
クレオパトラは、バジェ・デル・カウカ県のエル・カイロ地区にあったミランダ農園独自の銘柄だったが、ミランダ農園が閉鎖したために、現在は、同県のエル・アギーラ地区で、生産が受け継がれている。
クレオパトラというのはインパクトのある名前だが、ミランダ農園の農園主名がシーザーであったことから、古代ローマの英雄・シーザーにちなんで、シーザーと恋に落ちた古代エジプトの女王・クレオパトラの名が付けられた。
クレオパトラという名前から、エジプトのコーヒーと思われがちだが、そうではない。
中深・中煎を飲み比べ
今回は、中深煎りと中煎りの両方を飲み比べた。
豆の品種はアラビカ種のティピカとブルボン。完熟した果実は手摘みで収穫され、水洗処理したあと、天日乾燥される。
中深煎り
まずは中深煎りから。
豆の特徴
豆は粒も形もよくそろっている。きれいな豆だ。中深煎りなので色は焦げ茶色。
ハンドドリップ
中深煎りなので、よくふくらむ。粉のふくらみも大きい。ドリッパーの中で、シュワシュワッとふくらんでいく様子を眺めるのは楽しい。
ノリタケ トゥーラック ブルー
カップ&ソーサーは、ノリタケ(M-186)トゥーラック・ブルー。白地にゴールドとブルーの縁取りが、クレオパトラの気品ただようイメージと重なる。
味の感想
ひとくちめは、上品な苦みと柑橘系の酸味。飲みやすいが、際立った個性はさほど感じない。冷めてくると、ミルクチョコレートのような甘みが出てきた。
ひとことでいうと「気品を感じる」コーヒーだった。
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中煎り
続いて中煎りをいただいた。
豆の特徴
中煎りなので色は薄めの茶色。日本の伝統色でいうと芝翫茶(しかんちゃ)に近い。生豆は中深煎りと同じなので粒も形もそろっている。
ハンドドリップ
中煎りなので、粉の膨らみは、中深煎りほど大きくないが、均等にきれいに膨らんでいく。中煎りのハンドドリップは、マスターの技の見せどころ。
ウェッジウッド ウインターホワイト
中煎りのカップ&ソーサーは、ウェッジウッド(WEDGWOOD)のウインターホワイト。乳白色と白金(プラチナ)で描かれた精緻なデザインは、クレオパトラの高貴なイメージを彷彿(ほうふつ)させる。
味の感想
ひとくちめは上質な香味(こうみ)と酸味を感じた。酸味は突出した酸味ではなく、やわらかな酸味。香味もそうだが味が複雑。いろいろな旨みが凝縮された感じだ。
こちらはひとことでいうと「高貴な香り」が特徴的なコーヒーだった。
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後記
今回は、中深煎りと中煎りで焙煎したエチオピアのクレオパトラを飲み比べたわけだが、個人的には、クレオパトラの高貴なイメージからすると、中深煎りよりも中煎りのほうが、高貴な香りが楽しめた。
取材場所
本記事の取材場所は埼玉県越谷市下間久里(しもまくり)にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真及び動画の撮影は珈家のマスターの許可を得たうえで行なった。
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越谷市下間久里(しもまくり)にある行きつけの自家焙煎珈琲店・珈家(かや)が、ぴあMOOK「埼玉の喫茶店」(2024年7月20日発行)に掲載された。常連客としてはうれしいかぎりだ。
参考資料
本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。
・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・アネット・モルドヴァ著/丸山健太郎監修(2021)『新版 THE COFFEE BOOK』誠文堂新光社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.