坂東市の一刀手打ちそば岩井更科の巴そばとかき揚げは秀逸だった。

2023年8月3日。仕事で坂東市へ。途次、「純十割一刀手打ち蕎麦」の看板に惹かれ、岩井更科（いわいさらしな）で、同僚と昼食をとった。メニューの中から選んだのは巴（ともえ）そばと、かき揚げ。どちらも秀逸だった。

岩井更科

岩井更科に着いたのが、午前11時20分。中に入ると、4組の先客がいた。3席あるテーブル席はすでに満席。座敷に案内された。座敷も2卓、予約席になっていた。

開店20分で席のほとんどが埋まっているとは驚いた。

メニュー

岩井更科のそばは、生粉打（きこうち）そば・裁ちそば（たちそば）・御膳そば（ごぜんそば）の三種類から選べ、天ぷらまたはかき揚げとセットにもできる。

そのほか、三種類の蕎麦を食べ比べできる巴（ともえ）そばや、天丼・かき揚げ丼などのご飯物と、一品料理などのメニューがある。

ボクと同僚は、巴そばと、かき揚げをいただくことにした。

純十割一刀手打ちそば

岩井更科の看板にもなっている「純十割一刀手打ち蕎麦」（じゅんじゅうわりいっとうてうちそば）とは、どういう意味なんだろう。

2019年に岩井更科を取材した茨城新聞（2019年12月1日版）によると、「そばを切るとき、角をつぶさないため刀のように包丁を引く。その切り方から『純十割一刀手打ち』と名乗っている」（※１）そうだ。

※１《茨めん》かき揚げせいろ岩井更科（坂東市）「きたかんナビ」茨城新聞（https://kitakan-navi.jp/archives/38398）（2023年8月15日閲覧）.

待つこと40分
料理が運ばれてきた。

巴そば

ボクと同僚が頼んだ巴そば。岩井更科のご主人が一刀手打ちで打った三種類の蕎麦◇生粉打（きこうち）そば◇裁ちそば◇更科御膳そば……がザルの上に均等に盛られている。色合いも美しい。

生粉打そば

まずは生粉打（きこうち）そば。最高位の割抜き石臼挽き粉と自然水のみで打ち上げた純十割の細打ちのそば。色は生成（きなり）色に近い。そばはしっかりした固さで自然な甘みを感じる。うまい。

裁ちそば

続いて裁ちそば。生粉打（きこうち）そばと同じく、自然水のみで打ち上げた純十割の中太打ちのそば。色は白茶（ベージュ）に近い。そばは、こしが強く、風味が豊か。歯ごたえと喉ごし感がこれまたいい。

更科御膳そば

最後に更科御膳そば。そばの実の甘皮の部分を取り除き、御前粉（更科粉）と呼ばれる芯の部分だけで打ち上げた、更科伝統の真っ白な細打ちそば。上品な味わいだ。更科御膳そばは、そばの白米とも呼ばれているらしい。

つゆも秀逸

そばは三種類どれもうまかったが、個人的には、裁ちそばが気に入った。次に生粉打（きこうち）そば、そして更科御膳そば、か。裁ちそばのどこがよかったかというと、風味と喉ごし感が秀逸だった。

つゆもまろみのある辛口で、ご主人のつゆへのこだわりもかなりのものだ。

かき揚げ

巴そばといっしょに頼んだかき揚げ。具材はプリプリのエビと貝柱にミツバ。岩井更科の名物だ。サクサクなのにふんわり感もある。

つゆ塩論争

さて、かき揚げは、「つゆ」と「塩」、どっちで食べたほうがうまいか。ボクと同僚とは意見が分かれた。ボクはつゆ派で、同僚は塩派。

これはどっちが正しいかということではなく、好みの問題だから、どっちでも好きなほうで食べればいいんだよ、ということで、かき揚げの「つゆ塩論争」は、論争に入る前に終結した。

本日のそばなくなりました

そばを食べている途中、二組の客が来たが、ボクらの次に来た二人連れの客は入れたが、その次に来た三人組の客は、本日分のそばがなくなったということで、断られた。

時計を見ると、12時10分。開店1時間ちょっとで営業終了。マジか……。そばは高齢のご主人が打っているので、一日に提供できるそばも限られているようだ。

後記

岩井更科はこの地に暖簾（のれん）を掲げて40年になるという。店は高齢のご主人と息子さんの二人で切り盛りしている。

頑固爺の店

玄関の横に「頑固爺の店」と書かれた小さな看板が掛かっていたが、お勘定のとき、厨房から出てきたご主人は、頑固爺（がんごじじい）ではなく、好好爺（こうこうや）という感じのヒトだった。

ふたこと、みこと、話をしたが、まさにそば職人。そば・つゆ・天ぷらなどの料理だけではなく、ご主人の人柄も含めて、岩井更科は、すべてが「秀逸」だった。

ぜひまたご主人が打つそばを食べにおじゃましたい。

営業情報

岩井更科の住所は、茨城県坂東市大口2828-1。郵便番号は 306-0615 。場所は、国道354号線「大口」交差点から北北西300メートル。国道354号線と脇道の間にある（地図）

営業時間は、午前11時から午後3時。そばがなくなりしだい終了。営業は不定休。あらかじめ予約をしておけば、その分のそばは用意しておいてもらえるので、予約していくことをおすすめする。電話番号は 0297-39-2569。