2023年7月22日。越谷市下間久里にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)へ。マスターが特別に少しだけ焙煎したというパナマ・エスメラルダ農園のゲイシャをいただいた。焙煎度は浅煎り。一杯目はホットで、二杯目はアイスコーヒーで。

エスメラルダ農園のゲイシャ

エスメラルダ農園のゲイシャ

パナマ・エスメラルダ農園のゲイシャといえば、2004年に国際オークションで史上最高値が付いた最高級コーヒー。当時は、日本でも一杯1万円という値段がついて話題になった。今でも都内で飲めば一杯3000円はくだらないだろう。
 
世界最高峰のゲイシャをホットとアイスでいただけるなんて、こんな究極のぜいたくが許されていいのだろうか……。

エスメラルダ農園

焙煎機

エスメラルダ農園のゲイシャをいただく前に、少々うんちくを。
 
2007年ワールド・バリスタチャンピオンシップ優勝者のジェームズ・ホフマンは、「エスメラルダ農園」について、著書(※1)の中で、次のように述べている。

中米でコーヒー産業にこれほどまでに強い影響を与えた農園は他にない。その農園は「エスメラルダ農園」。コーヒー価格が低い時代に、パナマ・スペシャルティコーヒー協会は、ベスト・オブ・パナナと呼ばれる品評会を開催した。
 
パナマのさまざまな農園で生産された最高のコーヒーに順位をつけ、インターネット・オークションにかけたのだ。エスメラルダ農園は、この品評会で、2004年から2007年の4年連続と、2009年、2010年に優勝し、2013年には部門別で優勝した。
 
エスメラルダ農園のコーヒーは価格も記録破りで、はじめて優勝した2004年には、1ポンド21ドル(2800円)の価格をつけ、2007年には170ドル(2万4000円)まで上昇した。
 
2013年には、ナチュラル精製された少数のコーヒー豆が、1ポンド350ドル(5万円)の値をつけた。これはまぎれもなく、単一の農園が生産したコーヒーとしては世界最高の価格だった。

※1 ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.「パナマ」pp.254-255.

コーヒー豆

コーヒー豆|パナマ・エスメラルダ農園

このコーヒー豆(上の写真)が、パナマ・エスメラルダ農園のゲイシャだ。浅煎り焙煎なので、色は薄い茶色、日本の伝統色でいえば江戸茶(えどちゃ)。
 
世界最高値を記録したコーヒー豆だと思うと、なんだか、後光がさして見える。

ハンドドリップ

カウンター席に座って、マスターがハンドドリップする様子を YouTube ショート動画に収めた(上の動画)。浅煎りなので粉のふくらみは深煎りほど大きくはないが、きれいにしゅわしゅわ~っと、ふくらんでいく。
 
気のせいか、粉のふくらみまで神々しく見える。

それでは、淹れたてのパナマ・エスメラルダ農園のゲイシャコーヒー、いただきますか。まずはホットで。

ホットコーヒー

エスメラルダ農園のゲイシャ|ホットコーヒー

世界最高値を記録したエスメラルダ農園のゲイシャを飲むからには、カップ&ソーサーも名前負けしないようにと、英国皇室御用達・ウェッジウッドのアレクサンドラをリクエストした。(※2)
 
まずはひとくち。柑橘系の上品な香りが鼻から抜けた。先週、珈家で、パナマのカカオ農園で生産されたゲイシャをいただいたが、エスメラルダ農園のほうが、香りが強い。
 
ゲイシャの香りは「紅茶」にたとえられることが多いが、高級なレモンティーを思わせる酸味と甘みを感じる。全体的には「ジューシー感が際立つ」コーヒーだった。

※2 珈家では、カップ&ソーサーはマスターが選んでくれるが、今回は、取材ということで、特別にお願いしてリクエストした。通常、カップ&ソーサーはリクエストできない。

アイスコーヒー

エスメラルダ農園のゲイシャ|アイスコーヒー

二杯目はアイスコーヒーで。浅煎りなので、見た目はコーヒーというよりは紅茶だ。ひとくちめの柑橘系の上品な香りはアイスも同じ。ジューシー感も変わらない。ただ、ホットよりもアイスほうが甘さをより感じる。
 
ホットは、高級な無糖レモンティーで、アイスは、高級な微糖レモンティーといったところだろうか。

究極のコーヒータイム

アイスコーヒー

エスメラルダ農園のゲイシャをホットとアイスでいただくなんて、まさに、究極のコーヒータイムだった。ホットよりもアイスのほうが甘みを強く感じた、というのも新鮮な驚きだった。今度は、ブルーマウンテンで試してみたい。

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取材場所

本記事の取材場所は埼玉県越谷市下間久里(しもまくり)にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真及び動画の撮影は珈家のマスターの許可を得たうえで行なった。

参考資料

本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。

参考文献

・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.