『ホツマツタヱ』をゼロから学べるおすすめの入門書を私が実際に読んだ本のなかから4冊厳選して紹介する。どの書籍も原文の内容がわかりやすい現代語訳になっているので、無理なく読める。

ホツマツタヱとは

『ホツマツタヱ』入門書

「ホツマツタヱ」とは、「ヲシテ」と呼ばれる古代文字でつづられた日本最古の歴史書で、古事記や日本書紀の元になったといわれている。
 
全文、五七調の長歌体で記されていて、三部構成全40章、約12万文字。古事記、日本書紀と同様、古代の日本の国造りを描いているとされる。
 
それでは、「ホツマツタヱ」の入門書を順番に紹介していく。

やさしいホツマツタヱ

『やさしいホツマツタヱ』著者・いときょう

一冊目は、『やさしいホツマツタヱ』いときょう(ホツマ出版)。ホツマツタヱの概要が、かみくだいて説明されているので、ゼロから学ぶには最適。解説もわかりやすい。
 
ヲシテ文字一覧と解釈のほか、前文にあたる奉呈文と、全40章のうち最初の4章が、ヲシテ文字・かな・訳とともに載っている。
 
著者のいときょう氏は、朗読をすすめているので、ひらがなとカタカナで書かれた五七調の原文を朗読すると、「ホツマツタヱ」の真髄に触れることができる。

おすすめポイント
  • ホツマツタヱの概要が網羅されている
  • 文章も解説もわかりやすい
  • 朗読するには最適
本の中身

国生み物語が記されている奉呈文を筆者のいときょう氏が訳した一部を抜粋・引用して紹介する。引用元は、『やさしいホツマツタヱ』いときょう(ホツマ出版)14-15頁

この国は、宇宙が始まり、[中略]海に浮かぶ島国となった紀元前五千年頃に、アマカミ(当時の指導者、天皇の古称)が現われ、代々、お治めになりました。初代アマカミはクニトコタチ様でございます。イサナギ・イサナミ様は七代目のアマカミでございます。

ホツマツタヱをゼロから学ぶにはおすすめの一冊。

『やさしいホツマツタヱ』を読んでみて、興味がわいたら、次に紹介する本を買って読むと、さらに理解が深まる。

はじめてのホツマツタヱ

『はじめてのホツマツタヱ』今村聰夫(かざひの文庫)

続いて紹介するのは、『はじめてのホツマツタヱ』今村聰夫(かざひの文庫)全3巻。
 
ホツマツタヱを「天の巻」(第1巻)「地の巻」(第2巻)「人の巻」(第3巻)の三部に分けて、現代語訳と原文の「ひらがな表記」で、全文(約12万文字)が著わされている。
 
訳文は、話し言葉でつづられているので、わかりやすい。難しい漢字には、ふりがながふってあるので、全体を物語として楽しめる。

おすすめポイント
  • ホツマツタヱ全文が載っている
  • 訳文も話し言葉でわかりやすい
  • 原文のひらがな表記も載ってる

はじめてのホツマツタヱ|天の巻

『はじめてのホツマツタヱ 天の巻』

第1巻は『はじめてのホツマツタヱ・天の巻』。「天」は「あ」と読む。全40アヤ(※1)のうち1アヤから16アヤまでの全16章が掲載されている。
 
補足として、6編のコラムのほか、神名一覧も載っている。

※1 ホツマツタヱでは「章」を「アヤ」と呼ぶ。

本の中身

『はじめてのホツマツタヱ・天の巻』の中から古事記でもなじみ深い「ヤマタノオロチ退治」の一節を抜粋・引用して原文と訳文を紹介する。引用元は、『はじめてのホツマツタヱ 天の巻』今村聰夫(かざひの文庫)180頁

原文

やまたかしらの/おろちきて/やふねのさけお/のみゑいて/ねむるおろちお/づだにきる/ははがをさきに/つるぎあり/ははむらくもの/なにしあふ

訳文

ヤマタノオロチが姿を現わしました。[中略]酒の匂いにひかれて(酒の入った)八槽の桶に各々頭を突っ込んで酒を飲み始めました。[中略]酔った八岐の大蛇は、[中略]眠り込んだのです。
 .
ソサノヲは大蛇が眠ったのを確認すると、八つの首を切り落としました。[中略]最後に尾を切り刻む尾先から一振りの剣が出てきました。のちに「叢雲の剣」(むらくものつるぎ)と呼ばれて国の宝となる名剣です。

ふりがなで記された原文を音読していくだけでも楽しめる。

はじめてのホツマツタヱ|地の巻

『はじめてのホツマツタヱ 地の巻』

第2巻は『はじめてのホツマツタヱ・地の巻』。「地」は「わ」と読む。
 
国家運営の要諦となる数々の教えのほか、海彦山彦の確執、ウガヤフキアエズとタマヨリ姫など、神武天皇に至る複雑な系譜が語られている。

本の中身

『はじめてのホツマツタヱ・地の巻』の中から「天孫降臨神話」の原形ともいわれる「ニニキネ(※2)の出立」の一節を抜粋・引用して原文と訳文を紹介する。引用元は、『はじめてのホツマツタヱ 地の巻』今村聰夫(かざひの文庫)152頁

※2 ニニキネは日本書紀・古事記ではニニギノミコトと呼ばれている。

原文

しかるのち/みくさたからお/ひつにいれ/しるしはさかき/さきかりは/たちからをなり/つぎかつて/おおものぬしと/みぐさひつ/やふさみくるま/つきこやね/かごむまやその/もののべら/いせよりたちて/あすかみや

訳文

ニニキネの一行は、三種の神宝(みくさのみたから)を櫃(ひつ)に入れ、印として榊の枝を立てて出発しました。
 
先頭はタチカラヲ、[中略]ニニキネを乗せた八房(やふさ)の御車(みくるま)[中略]後続は騎馬の八十物部(やそもののべ)たちです。
 
一行は、伊勢を出発してまず飛鳥宮にいますニニキネの兄ホノアカリを表敬訪問しました。

第2巻(地の巻)のアマテラスオオミカミは男だった、という話には仰天。

はじめてのホツマツタヱ|人の巻

『はじめてのホツマツタヱ 人の巻』

第3巻は『はじめてのホツマツタヱ・人の巻』。「人」は「や」と読む。
 
語られている物語は、アマテル大御神(アマテラスオオミカミ)の崩御、タケヒト(神武天皇)の東征、崇神天皇・景行天皇の御代(みよ)、ヤマトタケ(ヤマトタケル)の悲劇……など。
 
巻頭に神様の系図と一覧、巻末に、前文ともいえる「奉呈文」(ホツマツタヱお述〈の〉ぶ)の現代語訳が掲載されている。

本の中身

『はじめてのホツマツタヱ・人の巻』の中から「ヤマトタケルはスサノオの生まれ変わりだった」という一節をを抜粋・引用して紹介する。出典は、『はじめてのホツマツタヱ 人の巻』今村聰夫(かざひの文庫)220頁

原文

はなひこは/わかさきみたま/しろしめし/かわあひののに/おほみやお/たててもつらす/ひかわかみ

訳文

ヤマタケ(ヤマトタケル)は、自分の先御魂(さきみたま)がソサノヲ(ハナキネ)であることを実感され、荒川の支流が集まる川合(かわあい)の野に大宮を建てて氷川神社(現・埼玉県さいたま市の氷川神社)として祀らせました。

第3巻(人の巻)の巻頭に掲載されている「神様系図」と「天皇系統図」もおもしろい。

関連書籍

『ホツマツタヱとカタカムナで語り尽くす』

書籍「ホツマツタヱとカタカムナで語り尽くす」

価格:
1,980円(税込)

ホツマツタヱ研究家・いときょう氏と、カタカムナ研究家・吉野信子氏が、二つの超古代文献で読み解かれた最新の研究成果を語り尽くす対談本。
 
カタカムナでわかった宇宙の構造、祝詞に込められた罪と穢れ、日本語のはじまりは縄文時代だった……他
 
対談形式なのですらすら読める。