ブラジルのゴールデンレーズンというアナエロビック製法で発酵させたコーヒーを行きつけの自家焙煎珈琲店のマスターが中煎りで焙煎したので、ホットとアイス、両方飲んで味を比べた。

ゴールデンレーズン

ゴールデンレーズンコーヒー

ゴールデンレーズン(Golden raisin)とは、直訳すると「黄金の干しぶどう」。干しぶどうのような酸味と甘みが楽しめる希少なコーヒーという意味で名付けられた。

アナエロビック製法

ゴールデンレーズンの特徴は、アナエロビック(Anaerobic)製法と呼ばれる生産処理の仕方にある。
 
通常、ウォッシュド(水洗式)でコーヒーチェリーを生産処理する場合、タンクの水に浸け、酸素に触れさせたまま発酵させるが、アナエロビック製法では、酸素に触れさせずに発酵させる。もともとはワインの醸造で用いられている。
 
アナエロビック製法で発酵させたコーヒー豆は、独特の風味をかもしだすと言われているが、コーヒー豆本来の風味ではないと、批判的な意見もある。

豆の特徴

ゴールデンレーズン|中煎り

ブラジル・ミナスジェライス州セラード地域のドナネネン農園で生産された豆で、品種は、ブルボン種と、ブルボン種の変異種・アマレロ。粒はやや小さめで丸みを帯びている。
 
中煎り(ミディアムロースト)で焙煎しているので、豆の色は、薄茶色。日本の伝統色でいえば、丁子茶(ちょうじちゃ)に近い。かすかに甘い香りがする。

ハンドドリップ

マスターがハンドドリップする様子を YouTube ショート動画に収めた(上の動画)。中煎りなので、深煎りのように、粉はモコモコふくらまないが、ゆっくりと、しゅわしゅわ~っと、ふくらんでいく。

ホットコーヒー|味の感想

ゴールデンレーズン|ホットコーヒー

一杯目は、ホットコーヒーでいただいた。まずはひとくち。甘酸っぱいフルーティーな香りが鼻に抜けた。ほどなくすると、レーズンを思わせる酸味と甘みが出てきた。すっきりした飲み口だ。最後はレーズンチョコレートのような甘みと酸味に変わった。

アイスコーヒー|味の感想

ゴールデンレーズン|アイスコーヒー

二杯目はアイスコーヒーでいただいた。ひとくちめのフルーティーな酸味はホットと同じ。すっきり感はホットよりもアイスのほうがある。
 
柑橘系の香りが鼻から抜けた。後半は上品なレモンティーを思わせる風味に変わった。後半は、ホットはレーズンチョコレートのような酸味と甘みだったが、アイスは、レーズンの果実を思わせる酸味と甘みがした。

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後記

アイスコーヒー|ゴールデンレーズン

ゴールデンレーズンを飲んでみて、アナエロビック製法独特の発酵感は、それほど感じなかった。ホットにしてもアイスにしても、フルーティだったが、飲んだ感想をひとことでいうと「個性を主張しない奥ゆかしいコーヒー」だった。
 
以前、同じブラジル産の果実市場と呼ばれるフルッタ・メルカドンというコーヒーを飲んだが、こちらはかなり個性的だった。

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取材場所

本記事の取材場所は埼玉県越谷市下間久里(しもまくり)にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真及び動画の撮影は珈家のマスターの許可を得たうえで行なった。

参考資料

本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。

参考文献

・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.
・アネット・モルドヴァ著/丸山健太郎監修(2021)『新版 THE COFFEE BOOK』誠文堂新光社.