ブラジル産のカフェ・ヴィーニョという銘柄のコーヒーをなじみの自家焙煎珈琲店でいただいた。焙煎度は中深煎り。赤ワインを思わせるフルーティーな香りと、まろやかな甘みとコクが特徴のコーヒーだった。
カフェ・ヴィーニョ
今回いただいたのは、ブラジル・ミナスジェライス州セラード地域のフォリャードス農園で栽培されているコーヒー。銘柄名の「ヴィーニョ」(Vinho)はポルトガル語で「ワイン」のこと。ワインのような香りがするのでヴィーニョと名づけられた。
豆の特徴
豆の品種は、ブラジルで交配されたカツアイ種(カトゥアイ種とも)(※1)。形も大きさもそろっている。豆の先端がつまって平らになっている。丸みを帯びた長方形、といった感じか。中深煎りなので色は黒みを帯びた茶色をしている。
※1 クックドア「カトゥアイ種」(https://www.cookdoor.jp/useful/glossary/cafe/2432301/)(2022年12月14日閲覧).
挽き目は中挽き
豆の挽き目は中挽き。挽きたての粉はとてもいい香りがする。カフェ・ヴィーニョは甘い香り。なんとも癒される。
『極める 愉しむ 珈琲事典』(2017)に、「コーヒー豆は、挽いた瞬間にも強く芳香(アロマ)を放ちます。アロマはコーヒーの魅力の最たるものですから、豆を挽くときからすでにコーヒーを楽しむ時間は始まっているのです」(※2)とあるが、まさにそのとおりだ。
※2 西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社「豆の挽き方について」.p80.
ハンドドリップ
マスターがハンドドリップする様子を YouTube ショート動画に収めた(上の動画)。中深煎りなので粉もきれいに膨らんでいく。カフェ・ヴィーニョの甘い香りがカウンター席にも漂ってきた。優雅な時間がゆっくり流れていく。
味の感想
まずはひとくち。ほのかに赤ワインを思わせる風味が鼻から抜けていった。まさにヴィーニョ(ワイン)。全体的にはコクがあってまろやか。後半になると、チョコレートのような甘みがきわだってきた。
ひとことでいうと「風味が楽しめる」コーヒーだった。
ノリタケ カーニバル ラベンダー
カップ&ソーサーは、ノリタケのカーニバル・ラベンダーにした。白とラベンダーのストライプ柄に金の縁取りがなんともおしゃれ。カフェ・ヴィーニョの産地であるブラジル・リオのカーニバルのようにウキウキした気分でコーヒータイムが楽しめた。
後記
今回いただいたカフェ・ヴィーニョはブラジルのコーヒーなので、ブラジルとコーヒーについて調べた。
ブラジルは世界一の生産量を誇るコーヒー大国。日本が輸入しているコーヒー豆のうち、いちばん多いのもブラジル産だ。「ブラジルには22万以上のコーヒー農園がある」(※3)という。22万といわれてもちょっと想像できないが。
※3 西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社「ブラジル」.p43.
ブラジルのコーヒー業界の歴史
ブラジルのコーヒー業界の歴史についてもふれておきたい。『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典』(※4)から該当箇所を引用・抜粋して紹介する。
コーヒーがフランス領ギアナからブラジルに伝わったのは1727年のことで、当時のブラジルはポルトガルの植民地だった。
19世紀中頃まで、ブラジルのコーヒー業界は労働力を奴隷に頼り、150万人の奴隷がブラジルに連れてこられ、コーヒー農園で働かされていた。1850年、英国がブラジルに対しアフリカでの奴隷取引を禁止すると、ブラジルは移民労働者や国内の奴隷取引に移行。
1888年に奴隷制度が廃止された時は、コーヒー業界が危機に瀕するのではないかと大いに懸念されたが、収穫はその年移行も順調に続いた。引用元: 『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典』(※4)
※4 ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社「ブラジル」p.198.
ブラジルのコーヒーの商業生産を支えていたのは奴隷だった。コーヒーの生産を取り仕切る者は途方もない富と権力を手にし、「コーヒー男爵」と呼ばれ、コーヒー業界への支援に大きな影響を与えたという。
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取材場所
本記事の取材は埼玉県越谷市下間久里(しもまくり)にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)でおこなった。写真及び動画の撮影は珈家のマスターの許可を得たうえで行なった。
参考資料
本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。
・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.