インドネシアのトラジャ地区ランテカルア農園のコーヒーをなじみの自家焙煎珈琲店でいただいた。焙煎度は中深煎り。飲んだ味の感想は、スパイシーで厚みのある口あたりが特徴のコーヒーだった。
トラジャコーヒー
今回いただいたコーヒーの産地は、インドネシア・スラウェシ島の南部タナ・トラジャ地区にあるランテカルア農園。ランテカルア(Rantekarua)は、現地語で「八つの山々」を意味する。
スラウェシ島
スラウェシ島のコーヒー事情について調べた。出典は『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』(※1)。以下、引用抜粋。
スラウェシ島のコーヒーの大半は、小規模農家が生産している。大規模農園の生産量の全体に占める割合は 5パーセントほどだ。
コーヒー生産にはありまり組織化されていない。多くの小規模農家は、コーヒーを補助収入のために栽培していて、他の作物の生産に力を入れている。
スラウェシ島では、アラビカ種の大半は標高の高いタナ・トラジャ付近で栽培されている。セミウォッシュによる精製が一般的だが、中には完全にウォッシュドで精製されたものがあり、きわめて美味だ。引用元: 『スペシャルティコーヒー大辞典』(※1)
※1 ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社「インドネシア」173頁
上記の中に「完全にウォッシュドで精製されたものがあり、きわめて美味だ」とあるが、今回いただくコーヒー豆は完全ウォッシュドなので、期待が高まる。
豆の特徴
豆の品種はアラビカ種の派生品種・カツアイ。豆は楕円形で肉厚。形もそっている。中深煎りなので色は焦げ茶。日本の伝統的な色でいうなら、煤竹色(すすたけいろ)に近い。
トラジャ族がコーヒー栽培
コーヒー豆の販売元、セラード珈琲のホームページに「インドネシア・トラジャ・ランテカルア農園」についての商品説明が載っている。以下、引用、抜粋。
コーヒーの栽培・育成・収穫は現地の伝統民族トラジャ族の農家によって行なわれています。110万人に及ぶトラジャ族のうち 45万人のトラジャ族が、タナ・トラジャ(トラジャの大地)に居住しています。
トラジャ族と言えば岩壁を採掘する埋葬方式や生涯の最大催事がお葬式など独特の風習と、両側が鋭く反り上がった屋根をもつトコナン(Tongkonan)と呼ばれる精巧な住居様式で有名です。
19世紀中ごろにコーヒーが持ち込まれて以降、コーヒーはトラジャ地域にとって最重要作物となりました。インドネシアの中でもスラウェシ島トラジャのコーヒーは、その品質の高さから世界中から高い評価を受けています。引用元: セラード珈琲
ハンドドリップ
マスターがハンドドリップする様子を YouTube ショート動画に収めた(上の動画)。中深煎りなので粉のふくらみは深煎りほど大きくないが、シュワシュワッと、きれいにゆっくりふくらんでいく。
味の感想
まずはひとくち。一瞬、藁(わら)や土臭さのようなものを感じた。ふたくちめからは、スパイシーな香りとまろやかなコクが出てきた。かすかな酸味もある。後半になると、ダークチョコレートのような甘みが口の中に広がった。
ひとことでいうと「スパイシーなコーヒー」だった。
あなた好みのコーヒーを診断!
ノリタケ ジョージアンパレス
コーヒーカップ&ソーサーは、ノリタケのジョージアンパレス(4858)。金糸のデザインがなんとも美しい。上質なコーヒータイムが楽しめた。
後記
インドネシアは世界有数のコーヒー生産国でもある。ブラジル、ベトナムに次いで、生産量は世界3位(※2)を誇る。
※2 グローバルノート「コーヒー豆の生産量」(https://www.globalnote.jp/post-1014.html)(2023年5月21日閲覧).
インドネシアの主なコーヒー産地
インドネシアは約1万7000の島々からなり、主なコーヒーの生産地は、スマトラ島・スラウェシ島・ジャワ島。最初にジャワ島にコーヒーが伝わり、その後、各島々に広まっていったと言われている。
スマトラ島はインドネシア最大の島で、ここで採れるコーヒーは、木のような風味とガツンとくる口あたりが特徴。
インドネシア全島中で、アラビカ種の栽培量がもっとも多いのがスラウェシ島。主な特徴は豊かな風味と厚みのある口あたり。
ジャワ島は世界一人口の多い島としても知られている。ジャワ島で生産されているコーヒーは、ナッツ系や土系の風味が特徴。
続・トラジャ
3か月後、マスターがトラジャを再び焙煎したので、いだいた。焙煎度は前回と同じ中煎り。すっきりとした飲み口だ。ダークチョコレートを思わせるような甘みの中にヘーゼルナッツのうな香りをかすかに感じた。
カップ&ソーサーは、ノリタケ1507レースウッドゴールド・ピンク。あたたかみのあるやさしい色調で、優雅なコーヒータイムが楽しめた。
関連記事
インドネシアのマンデリンコーヒーを行きつけの自家焙煎珈琲店でいただいた。焙煎度は中深煎り。カップ&ソーサーはノリタケのホワイトパレスで。奥深い苦味と芳醇なコクが特徴のおいしいコーヒーだった。
あなたの好みのコーヒーを診断
取材場所
本記事の取材場所は越谷市下間久里(しもまくり)にある行きつけの自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真は珈家のカウンター席で撮影させていただいた。
参考資料
本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。
・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.
・アネット・モルドヴァ著/丸山健太郎監修(2021)『新版 THE COFFEE BOOK』誠文堂新光社.