インドネシアのスマトラ島北部のトバ湖周辺で生産されたマンデリン・トバコというコーヒーを行きつけの自家焙煎珈琲店でいただいた。焙煎度は深煎り。ビターチョコレートのような濃厚な甘みが楽しめた。
マンデリン・トバコ
トバコ(Tobako)の生産地は、インドネシア・スマトラ島北部リントン地区のトバ湖周辺。ほぼ赤道直下に位置している。
「マンデリン」の名前は、トバ湖の南岸に暮らす「マンデリン」(MANDAILING)と呼ばれる部族がコーヒー豆を栽培していたことに由来するといわれている。
精製方法
精製方法は、スマトラ方式(※1)と呼ばれるスマトラ島独特の方法で処理されている。スマトラ式は、英語では「ウェット・ハル」(Wet Hulling)、インドネシア語では「ギリン・バサ」(Giling Basah)と呼ばれている。
※1 コーヒーチェリーの果肉を取り除き、1~2日間乾燥させたあと、生乾きのうちにパーチメント(内果皮)を脱穀し、再び天日乾燥して生豆にする。
豆の特徴
豆の品種はアラビカ種のティピカ。形は楕円形で肉厚。形もよくそっている。深煎りなので、色は黒褐色に近い。今回いただくのは焙煎二日後のトバコ。
ハンドドリップ
マスターがハンドドリップする様子を写真に収めた(上の画像)。深煎りなので粉もきれいにふくらんでいく。カウンター席で、自分が注文したコーヒーが抽出される様子を眺めるのも楽しい。
味の感想
まずはひとくち。気品のある香りだ。深煎りなので、いわゆるマンデリン系特有のスパイシーな香りは消えているが、いきなりジューシーな甘みがきた。
中盤は、甘みとともに、芳醇なコクもでてきた。最後は、ビターチョコレートのような濃厚な甘みが口の中いっぱいに広がった。
ケニア・キリマンジャロ・インドなどの深煎りコーヒーはまた違った、上品な甘みが特徴のコーヒーだった。
ノリタケ ジョージアンパレス
コーヒーカップ&ソーサーは、ノリタケのジョージアンパレス(4858)。金糸のデザインが美しい。マンデリン・トバコの上品な香りとともに高級感あふれるコーヒータイムが楽しめた。
続・焙煎四日目
二日後、焙煎四日目のマンデリン・トバコを再度、いただいた。
ひとくちめは一瞬、かすかな苦みを感じたが、すぐに舌先に甘みがきた。冷めてくると複雑なコクが出てきて、後半は、濃厚な甘みがずっと続いた。深煎りなのに、最初から最後まで甘みが際立つ個性的なコーヒーだ。
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取材場所
本記事の取材場所は越谷市下間久里(しもまくり)にある行きつけの自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真は珈家のカウンター席で撮影させていただいた。写真掲載は許可済み。
参考資料
本記事を作成するにあたって参考にした文献を以下に記す。
・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.
・アネット・モルドヴァ著/丸山健太郎監修(2021)『新版 THE COFFEE BOOK』誠文堂新光社.