ゴールデンビートルというパナマのコーヒーを行きつけの自家焙煎珈琲店で飲んだ。焙煎度は中浅煎り。酸味と甘みが濃縮されている味わい深いコーヒーだった。
ゴールデンビートル
ゴールデンビートル(Golden Beetle)とは、中南米に生息する金色に輝くコガネムシ(プラチナコガネムシ)のこと。地元では、太陽の化身として崇められ、災いを避け幸福をもたらす縁起のいい生き物とされている。
幸運をもたらすコガネムシが生息している地域で栽培されたコーヒーということで「ゴールデンビートル」の名が付けられた。
豆の特徴
豆の形は、よくそろっている。焙煎度は中浅煎りなので、薄い茶色。日本の伝統色でいうと、江戸茶(えどちゃ)に近い。
産地・品種・精製方法
産地は、コスタリカ国境に接するパナマ西部・チリキ県ボケテ地区。パナマでもっとも有名なコーヒー産地で、高値の付く銘柄が多く栽培されている。品種はアラビカ種のティピカ・カツーラ・カツアイ。
精製方式はウォッシュド。コーヒーの果実を水に浸けてから精製する方法で、水洗式とも呼ばれる。
ハンドドリップ
マスターがハンドドリップする様子をカウンター席で連写した。中浅煎りなので、粉のふくらみは深煎りや中深煎りのようには大きくないが、ゆっくり、じわじわっと、ふくらんでいく。
味の感想
まずはひとくち。ナッツ系の香りがきわだつ。中浅煎りなのに濃厚な酸味とコクがある。酸味は柑橘系。ほどなくすると奥のほうからトウキビのような甘みが出てきた。
酸味・甘み・コクが、ぎゅっと凝縮されている感じだ。
ひとことでいうと「気品のあるコーヒー」だった。
ノリタケ ジョージアンパレス
カップ&ソーサーは、ゴールデンビートル(金色のコガネムシ)にちなんで、金糸のデザインが美しいノリタケのジョージアンパレス(GEORGIAN PALACE)を選んだ。
これで除災招福まちがいなし。
後記
パナマのコーヒー豆生産量は世界35位(※1)と、それほど多くはないが、「エスメラルダ農園ゲイシャ」など、高品質な豆が生産されている。
ただ、コーヒーを栽培していた農地が、外国人居住者のための住宅地として潰(つぶ)されていく問題も抱えているので、パナマのコーヒーの将来は、けっして明るいとはいえない。
※1 グローバルノート「コーヒー豆の生産量」(https://www.globalnote.jp/post-1014.html)(2025年5月6日閲覧).
取材場所
本記事の取材場所は埼玉県越谷市下間久里(しもまくり)にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真の撮影は珈家のマスターの許可を得たうえで行なった。
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2023年7月22日。越谷市下間久里にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)へ。マスターが特別に少しだけ焙煎したというパナマ・エスメラルダ農園のゲイシャをいただいた。焙煎度は浅煎り。一杯目はホットで、二杯目はアイスコーヒーで。
参考資料
本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.
・アネット・モルドヴァ著/丸山健太郎監修(2021)『新版 THE COFFEE BOOK』誠文堂新光社.