パプアニューギニアのブヌン・ウー農園で生産されたコーヒーをなじみの自家焙煎珈琲店で飲んだ。焙煎度は中深煎り。飲んだ味の特徴は、甘味・酸味・苦味のバランスがよく、すっきりした飲みやすいコーヒーだった。

パプアニューギニア ブヌンウー農園

パプアニューギニア ブヌンウー農園のコーヒー

ブヌン・ウー農園は、パプアニューギニアを代表するコーヒー生産地域である西部高原地域のマウント・ハーゲン地区の東部、ワギ渓谷にある。「ブヌン・ウー」(BUNUM WO)という名前は、農園内を流れる小川の名前から付けられた。
 
農園はコーヒーベルト(※1)に属している。標高1,500メートル級の高地に位置しているので、昼夜の寒暖差が激しく、豊かな降雨にも恵まれ、高品質なコーヒー豆生産に理想的な環境となっている。

※1 コーヒーの栽培に適したエリア。赤道をはさんで南北回帰線の間を中心としたベルト地帯(北緯25度から南緯25度の間)のこと。コーヒーゾーンとも呼ばれる。

行き届いた品質管理

珈琲豆専門店 Beans’Act のホームページに「ブヌンウー農園の品質管理」についての解説が載っている。以下、引用、抜粋。

ブヌン・ウー農園では、自然と調和するシェードツリー(※2)を多く導入した栽培法を実践するとともに、インドから招聘したコーヒー生産のプロフェッショナルによって生産を行なっています。
 
適度な間隔を保って植えられたシェードツリーや、科学的なデータに基づいて管理される施肥システム、また毎年50ヘクタールごとに実施される植え替えなど、すべてが完熟で甘味の多いチェリーを生み出すために工夫がされています。
 
豆の発酵、水洗、乾燥、最終のコンテナ詰めに至るまで、最高のカップ・クオリティーを生み出すための工夫がなされています。

※2 コーヒーの木から直射日光を避けるために植えらる樹木のこと。コーヒーの木は日射量が多すぎるとダメージを受けやすい。シェードツリーには、バナナやマンゴーなど、生産性のある木を植えることも多い。

豆の特徴

パプアニューギニア ブヌン・ウー農園|中深煎り

豆は大粒。肉厚でふっくらしている。粒の形もそろっている。焙煎度は中深煎りなので、黒みを帯びている。日本の伝統的な色だと憲法色(けんぽういろ)に近い。
 
豆の品種は、ティピカ・ブルボン・アリューシャ。生産処理方法は、水洗式(ウォッシュド)と主に天日乾燥。
 
豆の等級は最上位の「AA」。パプアニューギニアのコーヒー豆は、輸出品の場合、「品質によって上から順に、AA、A、X、PSC、Y と格付けされる。上から三つまでは農園のコーヒー、あとの二つは小規模農園のコーヒーとして格付けされる」(※3)

※3 ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社「パプアニューギニア」176頁

ハンドドリップ

マスターがハンドドリップする様子を YouTube ショート動画に収めた(上の動画)。ブヌン・ウー農園のコーヒーは中深煎りで焙煎されているので、モコモコと粉がふくらんでいく。この様子を見ているのも楽しい。

味の感想

パプアニューギニア産ブヌン・ウー農園のコーヒー

ひとくちめはすっきりとしたコクを感じた。香りもいい。上品な香りだ。甘味・酸味・苦味のバランスもいい。後半はチョコレートのような甘みが出てきた。ミルクチョコレートとダークチョコレートの中間といった甘さだ。
 
ひとことでいうと「品のいいコーヒー」だった。



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ノリタケ ザビアゴールド

ノリタケ ザビアゴールド

カップ&ソーサーは、宝石のメノウをイメージしてデザインされたノリタケのザビアゴールド(XAVIER GOLD)4819。唐草文様があしらわれている。落ち着いた大人のコーヒータイムが楽しめた。

後記

コーヒーと生け花

パプアニューギニアは 1万近くの島で構成されている。商業的なコーヒー栽培が始まったのは1928年。世界でも比較的新しい産地だが、現在では、コーヒーはバームオイルに次ぐ第二の輸出農産物になっている。

パプアニューギニアのコーヒー豆生産量

パプアニューギニアのコーヒー豆生産量は、世界第22位(※4)。21位はマダガスカル、23位はギニア。

※4 グローバルノート「コーヒー豆の生産量」(https://www.globalnote.jp/post-1014.html)(2023年2月11日閲覧).

パプアニューギニアのコーヒー事情

パプアニューギニアのコーヒー事情について調べた。出典は『新版 THE COFFEE BOOK』(※5)。以下、引用・抜粋。

パプアニューギニアでは、コーヒーの大半が小規模農園で作られ、プランテーション(大規模農園)産もありますが、大規模農園の生産量は数パーセントにすぎません。
 
200万人から300万人がコーヒーで生計を立てています。植樹本数の増加や品質の向上への関心が、国中のあらゆる産地で高まっています。
 
生産される豆は、ほぼすべてが高地栽培にアラビカ種(ブルボン、アルーシャ、ムンドノーボなど)。口あたりが濃厚で、酸味は弱から中程度。ハーブ、木、トロピカルフルーツ、タバコなどを思わせる味わいが特徴です。

※5 アネット・モルドヴァ著/丸山健太郎監修(2021)『新版 THE COFFEE BOOK』誠文堂新光社「パプアニューギニア」100頁

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取材場所

本記事の取材場所は越谷市下間久里(しもまくり)にある行きつけの自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真は珈家のカウンター席で撮影させていただいた。

参考資料

本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。

参考文献

・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.
・アネット・モルドヴァ著/丸山健太郎監修(2021)『新版 THE COFFEE BOOK』誠文堂新光社.