エチオピア産のグジ・コーヒーをなじみの自家焙煎珈琲店でいただいた。焙煎度は浅煎り。カップ&ソーサーはノリタケのホワイトパレス。酸味・香り・コク……。どれも上品な風味が特徴のコーヒーだった。
エチオピア グジ
今回いただいたコーヒーは、エチオピア産グジ(Guji)。エチオピアのグジ地区で栽培されたコーヒーだ。エチオピアのコーヒー産地というと、イルガチェフェ地区が有名だが、クジ地区も引けを取らない。
コーヒーの銘柄名
コーヒーの銘柄名は、「生産国」のあとに「グレード(品質等級)」「生産地区」「農園名」「品種」「精製方法」などを組み合わせて表記されることが多い。
ちなみに今回いただいたコーヒーを例にとると(生産国)エチオピア(生産地区)グジ(品種)ゲイシャ種、といった具合だ。
エチオピアのコーヒー事情
エチオピアは世界でも有数のコーヒー生産国として知られている。コーヒー豆の生産量は世界第5位(※1)を占める。エチオピア人もコーヒーが大好き。国内でも生産量の 4割近くを消費している(※2)。
※1 グローバルノート「コーヒー豆の生産量」(https://www.globalnote.jp/post-1014.html)(2023年5月21日閲覧).
※2 成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版「エチオピア」p.140.
エチオピアはコーヒー原産国?
エチオピアはコーヒーの原産国として紹介されていることが多いが、どうやらそれは違うようだ。ジェームズ・ホフマンは著書(※3)の中で次のように述べている。以下、引用。
エチオピアは一般にはコーヒーの原産国と言われる。しかし、アラビカコーヒーノキが初めて見つかったのはおそらく現在の南スーダンで、それがエチオピアに広がってから繁茂しはじめたに過ぎない。
引用元: ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典(※2)
※3 ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社「エチオピア」,p.132.
さらにホフマンは、「はじめて人がコーヒー豆を食したのはエチオピアで、当時は飲み物というよりはフルーツとして食べられていた」「はじめてコーヒーを農産物として栽培した国はイエメンだが、それよりずっと前から、エチオピアでは自生したコーヒーを収穫していた」と、上記の著書(※3)で述べている。
豆の特徴
品種はゲイシャ種。アラビカ種の一品種。形も粒もなかなかいい。今回の豆は浅煎りで焙煎しているので、色は枯れ色というか、薄い茶色を帯びている。ちなみにゲイシャの名前はエチオピアの地名が由来。日本の「芸者」とはまったく関係ない。
ハンドドリップ
マスターがエチオピア産グジコーヒーをハンドドリップする様子を YouTube ショート動画に収めた(上の動画)。浅煎りなので豆の膨らみは少ない。また淹れ方もちょっとしたコツを要する。
浅煎りコーヒーを淹れるコツ
今回、取材したのは越谷市下間久里(しもまくり)の自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。マスターが、浅煎りコーヒーの淹れ方のコツを教えてくれた。
(珈家のマスター)深煎りや中深煎りのコーヒーを淹れるときは、目標値(200mlとか180mlとか)に達するまで、3回ほどお湯を注ぎますが、浅煎りの場合は、ちょっとずつ何回も、ていねいにお湯を足していきます。
真ん中にチョン、真ん中にチョン、というイメージで、7回ほどお湯を足していきます。
この「真ん中にチョン、真ん中にチョン」というのが、浅煎りコーヒーの淹れ方のコツだそうた。
味の感想
エチオピアのグジは「レモンティーのような香り」が特徴と言われている。はたしてどうか? ひとくちめは上品な酸味を感じた。フルーティーな酸味だが、レモンティーとなると微妙か。香りが上品。飲み終えたあとも上品な香りが、いつまでも口の中に残った。
ひとことでいうと「上品な風味のコーヒー」だった。
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ノリタケ ホワイトパレス 4753
カップ&ソーサーは、ノリタケのホワイトパレス4753 を選んだ。淡いベージュの地色に白塗り技法で唐草模様が描かれている高級感のあるデザイン。上品なエチオピア・グジコーヒーにはうってつけのカップだ。
後記
エチオピアといえばコーヒーだが、昭和31年(1956年)生まれのボクにとっては、エチオピアといえば、昭和39年(1964年)の東京オリンピックで、マラソン種目で史上初の 2大会連続優勝を果たしたエチオピアの英雄・アベベ選手(※4)である。
当時、ボクは小学3年生。地元がマラソンコースだったために、地元の小中学生は全員、日の丸の旗をもって沿道で応援した。アベベ選手が風のように目の前を通り過ぎていったことを58年たった今でもはっきりと覚えている。
※4 アベベ・ビキラ(1932年8月7日-1973年10月25日・41歳没)。1968年のメキシコオリンピックにも 3連覇をかけて出場したが、36歳という年齢とトレーニング中に痛めた左膝痛で途中棄権した。
続・後記|グジをアイスコーヒーで
7月1日。気温30度。格好のアイスコーヒー日和。グジをアイスコーヒーでいただいた。浅煎りで焙煎しているので、色はコーヒーというよりは紅茶に近い。ひとくちめは紅茶を思わせる香りと酸味。飲み口はすっきりしているが、あとあじはしっかりコクが残る。
アイスコーヒーというよりは高級なアイスティーという感じだった。
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今回飲んだエチオピアのグジと並んで評価が高いのがイルガチェフェ。イルガチェフェについては本ブログの別記事で紹介しています。
エチオピア産のイルガチェフェという銘柄のコーヒーをなじみの自家焙煎珈琲店でいただいた。焙煎度は中深煎り。カップはノリタケのジョージアパレス。近年、人気が出てきたというイルガチェフェ。どんな味わいなのか。楽しみだ。
取材場所
本記事の取材場所は埼玉県越谷市下間久里(しもまくり)にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真及び動画の撮影は珈家のマスターの許可を得たうえで行なった。
参考資料
本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。
・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.