ジャガーハニーというコスタリカのコーヒーを行きつけの自家焙煎珈琲店で飲んだ。焙煎度は中浅煎り。気品のある酸味とハチミツのような甘みが特徴のコーヒーだった。
ジャガーハニー
ジャガーハニーの「ジャガー」は動物のジャガー。ジャングルの森林伐採などで、生息地を追われて絶滅危惧種になった中南米のジャガーを保護するために、輸出会社が売上の一部を保護活動に寄付していることから「ジャガー」の名が付けられた。
ハニープロセス
「ハニー」というのは、ハニープロセスと呼ばれる精製法のこと。
収穫したコーヒー豆を果肉除去器にかけて果肉を取り除いたあと、糖分の多い「ぬめり」は除去しないで残したまま乾燥させ、そのあと脱穀して生豆にする。
甘みのあるコーヒーに仕上がるので「ハニー」の名がついた。
『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』によると、「ハニープロセスはコスタリカやエルサルバドルなど中米諸国の多くで採用されている」(※1)という。
※1 ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社「コーヒーの精製」37頁
豆の特徴
豆は肉厚。形もそろっている。焙煎度は中浅煎りなので、薄い茶色をしている。日本の伝統色でいうなら、江戸茶(えどちゃ)に近い。
品種
品種はカトゥーラ。「カツーラ」とも表記される。アラビカ種の派生品種で、中南米で多く栽培されている。病気や害虫に強く、低温にも適応する。
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ハンドドリップ
マスターがハンドドリップする様子をスマートフォン(iPhone13pro)で連写した。中浅煎りなので、粉のふくらみは深煎りほど大きくはないが、ゆっくり均等に、じわじわっとふくらんでいく。
味の感想
まずはひとくち。柑橘系の香りと酸味を感じた。気品のある酸味だ。口あたりはまろやか。軽い感じ。後半になるとコクが出てきて濃厚な風味に変わり、最後は、ハチミツを思わせる甘みがきわだった。
ひとことでいうと「気品のある酸味と甘みがが楽しめたコーヒー」だった。
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ノリタケ カーニバル イエロー
カップ&ソーサーは、一般的なジャガーの体色にちなんで、ノリタケのカーニバル・イエロー(CARNIVAL YELLOW)を選んだ。
後記
アマゾン川流域の森と湿地の生態系の頂点に君臨するジャガー。古代文明の人々は、ジャガーを神としてあがめ、「人間はジャガーから火を手に入れ,料理をするようになった」(※2)との起源神話も残っている。
また、「アマゾンの先住民族のなかには、ジャガーの血を飲み、心臓を食べ、毛皮をまとう人々がいた。人間はジャガーに生まれ変わり、ジャガーは人間になれると、多くの人々が信じていた」(※3)など、中南米ではジャガーは信仰の対象とされてきた。
今では、ジャガーの生息域はかつての半分近くまで減少したといわれている。「ジャガーハニー」を飲みながら、自然破壊によって姿を消しつつあるジャガーに思いをはせた。
※2 (出典)JapanKnowledge(https://japanknowledge.com)「ジャガー」世界大百科事典 (2025年4月14日閲覧).
※3 ナショナル ジオグラフィック日本版2017年12月号(日経ナショナル ジオグラフィック社)2017年11月30日発行「失われゆくジャガーの王国」94頁
取材場所
本記事の取材場所は埼玉県越谷市下間久里(しもまくり)にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真の撮影は珈家のマスターの許可を得たうえで行なった。
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2024年11月4日。越谷市下間久里の自家焙煎珈琲店・珈家(かや)でコーヒー教室が行なわれた。内容の充実ぶりもさることながら、マスターの淹れるコーヒーに参加者全員うっとり。優雅な時間が流れた。
参考資料
本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。
・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.