2023年8月1日。上野・アメ横ガード下の珍々軒へ。チャーシュー麺・炒飯・餃子をいただいた。味は文句なし。おかみさんの超人的な客さばきと、昭和の味も健在だった。
珍々軒
珍々軒に着いたのが11時半。すでに満席だった。客の半数は外国人。昭和23年(1948)創業の老舗も国際的になった。ボクと同僚は行列の三番目に並んだ。
行列の一番目は台湾人と思われるカップル。二番目に並んでいるのは、アメリカ人らしき家族が四人。女の子が7歳くらい、男の子が5歳くらいか。
11時50分。順番が回ってきた。奥のカウンター席に案内された。
メニュー
おかみさんが、お冷やとメニューを持ってきてくれた。ボクは今日は、チャーシュー麺を食べると決めていたのだが、同僚は、湯麺(たんめん)にするか炒飯にするか、さんざん迷った末、炒飯にした。さらに餃子を一枚ずつ頼んだ。
珍々軒はタンメンも有名なのだが、今日は、客の八割が炒飯を注文していた。外国人客は、ほぼ全員が炒飯を食べていた。
どうやら外国人観光客の間では「珍々軒の炒飯」が、トレンドになっているようだ。なんでも YouTube に珍々軒の炒飯がアップされて話題になったらしい。ナルホド。
待つこと10分
中華スープ
スープときゅうりの浅漬けが運ばれてきた。
これこれ、炒飯といったらスープ。珍々軒の中華スープは絶品で、このしょう油味のコクのあるスープとライスだけでも食事ができちゃうぐらいおいしい。この中華スープを飲みたいために、炒飯を注文するヒトもいる(らしい)
炒飯
ほどなくして炒飯が運ばれてきた。珍々軒の炒飯は、いたってシンプル。具材は、卵・チャーシュー・ネギ。仕上がりは「ふわふわ」で「しっとり」。絶妙な食感だ。
口の中でふわっと広がる玉子の香りがなんともいえない。
外国人もビックリ?
黄色をおびた炒飯は、お米ひとつぶひとつぶに油がほどよくコーティングされていて、ふっくらと、ピカピカに輝いている。
先ほど、行列でボクらの前に並んでいたアメリカ人(と思われる)家族も炒飯を食べていた。国際的に有名になった珍々軒の炒飯。あまりのうまさに外国人もビックリ(?)
チャーシュー麺
続いてはチャーシュー麺。澄んだスープ。コクがあるのにすっきりしている。麺はちぢれ麺。スープとの相性もいい。具材は、チャーシューのほかに、メンマとサヤエンドウ、それと刻みネギ。メンマは歯ごたえがじつにいい。
絶品!チャーシュー
チャーシューは自家製。脂身が三分の一から半分を占めている。豚肉の脂身が大好きなボクにとって理想的な黄金比だ。脂身は甘く、そしてやわらかい。肉のうまみと脂身の甘みがあいまったチャーシュー。もうたまりませんな~
炒飯を食べている外国人観光客のみなさん、次回、来日したときは、ぜひ珍々軒のチャーシュー麺を食べてみてください。
餃子
最後に餃子。皮はモチモチ。このモチモチした皮の食感が、珍々軒の餃子の特徴だ。スタッフが、営業時間中、ひとつひとつていねいに包んでいく。外側は香ばしく焼きあがって、中はジューシー。75年間、変わらぬ伝統の味だ。
神業の客さばき
珍々軒の名物は料理のほかにもうひとつある。
それはおかみさんの客さばき。カウンター席・店内のテーブル席・外のテーブル席、合わせて24席。加えて行列に並んでいる人たち……。そのすべてに目を配りながら、てぎわよく、さばいていく。
行列に並んでいる人を見て、はじめての客にはメニューを渡し、食事が終わった客のテーブルを片付け、並んでいる人を案内する。水を運んで、注文をとって厨房に伝える。できあがった料理を運んで、コップの水が減った客には、水を注ぐ。
じつにてぎわがいい。いっさいムダがない。
さらにおかみさんのすごいのは、お客全員の注文をすべて頭の中に入れてあること。会計票には書かない。そして、会計のときに、客の顔を見て「●●円ね」と、瞬時に金額を伝える。
今回、ボクと同僚が食べたのは、チャーシューン(950円)、炒飯(800円)、餃子2枚(500円×2=1,000円)、合わせて 2,750円。(おかみさん)「会計は別々?」(ボク)「いっしょで」(おかみさん)「2,750円ね」
これはもう神業の域に達している。
後記
ボクがはじめて珍々軒で食べたのは60年前(昭和38年)。上野・国立博物館を見た帰りに父が連れて行ってくれた。ボクとしては聚楽でお子様ランチを食べたかったのだが、あのとき、父に珍々軒に連れて行ってもらってよかったなと、今では思う。
営業情報
珍々軒の営業時間は、平日は午前10時から午後11時。日曜日は午前10時から午後8時。定休日は月曜日。場所はアメ横ガード下(東京都台東区上野6-12-2)。飲み屋街の一角。赤い看板の「珍々軒」が目印。