深煎りで焙煎したタンザニアのキリマンジャロコーヒーを行きつけの自家焙煎珈琲店でいただいた。気品のある濃厚なコクとダークチョコレートを思わせる味わい深い甘味がなんともいえず美味しかった。
キリマンジャロコーヒー
キリマンジャロ(Kilimanjaro)というのは、タンザニアの北西部にあるアフリカ最高峰のキリマンジャロ山から名づけられた銘柄。キリマンジャロ山麓の北部のほかにも南部でも栽培されていて、ともにキリマンジャロの銘柄で出回っている(※1)
※1 北西部のブコバ地区は除く。ブコバ地区は独自の「ブコバコーヒー」と呼ばれるコーヒー豆を栽培している。
焙煎直後のコーヒー豆
店内に入ると、マスターがキリマンジャロコーヒー豆を深煎りで焙煎し終わったところだった。香ばしい香りが漂っている。マスターが使っている焙煎機は大和鉄工所で製作されているマイスター(Meister)。日本製のコーヒー焙煎機だ。
焙煎仕立てのコーヒー豆
マスターが、焙煎したばかりのキリマンジャロコーヒー豆を大きなステンレス製のボウルに移したので、写真を撮らせてもらった。こんな写真はめったに撮れない。
キリマンジャロコーヒー豆
接写してみた。タンザニアのコーヒー農園に携わる人たちが丹精込めて育てたコーヒー豆をマスターが魂を込めて焙煎した深煎りキリマンジャロ。一粒一粒がいとおしくなってくる。
豆の特徴
今回いただくのは、先ほど焙煎したばかりの豆ではなく、焙煎四日目の豆。コーヒーオイルが出始めて、黒光りしている。
マスターの話によると「焙煎したばかりだと香りに角が立っているので(豆の種類にもよるが)数日熟成させたほうがおいしくなる」という。
豆の品種と等級
豆の品種はアラビカ種。等級は最高品質の「AA」。タンザニアでは、コーヒー豆の品質は粒の大きさと関連すると見なされ、粒の大きさによって、AA・A・B・PB・C・E・F・AF・TT・UG・TX と、11段階に等級分けされている(※1)。
※1 ジェームズ・ホフマン/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社「タンザニア」152頁
精製方法
豆はウォッシュドと呼ばれる方法で処理されている。ウォッシュドとは、収穫した果実を大きな水槽に入れ、石などの沈殿物や水に浮かぶ過熱果実などを取り除いてから果肉除去器にかけて果肉を除去する精製方法。
ハンドドリップ
マスターがハンドドリップする様子を YouTube ショート動画に収めた(上の動画)。深煎りなので、粉もモコモコと膨らんでいく。深煎りのコーヒーが抽出される様子は見ていても楽しい。いい香りが漂ってくる。
味の感想
深煎りで焙煎した淹れたてのキリマンジャロコーヒー。まずはひとくち。濃厚なコクだ。しかも気品がある。酸味と苦味のバランスがいい。後半は、ダークチョコレートのような甘味が楽しめた。
ひとことで言うと「気品のあるコーヒー」だった。
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ウェッジウッド アレクサンドラ
カップ&ソーサーは、ウェッジウッドのアレクサンドラを選んだ。プラチナで描かれたティアラ(※2)が優美な輝きを放っている。淡いペールブルーを基調にした気品のあるデザインはキリマンジャロコーヒーとの相性もいい。
※2 宝石をちりばめた冠形の女性用髪飾り。王室や日本の皇室などで礼装に用いられることが多い。2022年、20歳になられた天皇皇后両陛下の長女、愛子さまが成年儀式に臨むさいに、ティアラは新調せずに、天皇陛下の妹、黒田清子さんのティアラを借り受け着用されたことが話題になった。
後記
タンザニアのコーヒー豆の生産量は世界17位(※3)。アフリカ諸国では、エチオピア、ウガンダに次いで 3位の生産量を誇る。
※3 グローバルノート「コーヒー豆の生産量」(https://www.globalnote.jp/post-1014.html)(2023年2月8日閲覧).
タンザニアのコーヒー事情
タンザニアのコーヒー事情について調べた。出典は『新版 THE COFFEE BOOK』(※4)。以下、引用抜粋。
タンザニアには、1898年にカトリックの宣教団によってコーヒーがもたらされました。今日では一部でロブスタ種も栽培されていますが、生産量の大部分はアラビカ種です。
タンザニアの輸出収入の約20%をコーヒーが占めます。[中略]ほぼすべてのコーヒーが家族経営の小規模農園で栽培されています。約45万の家族がコーヒー栽培に携わり、産業全体での雇用は250万人にのぼります。引用元: 『新版 THE COFFEE BOOK』(※4)
※4 アネット・モルドヴァ著/丸山健太郎監修(2021)『新版 THE COFFEE BOOK』誠文堂新光社「タンザニア」72頁
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今回飲んだキリマンジャロコーヒーは深煎りだが、中深煎りのキリマンジャロコーヒーを飲んだ感想は別記事で紹介している。
中深煎りで焙煎したタンザニア産キリマンジャロコーヒーをなじみの自家焙煎珈琲店でいただいた。カップはノリタケのトレフォリオ・プラチナ。通常は深煎りで提供されているが、中深煎りはどんな味わいなのか。楽しみだ。
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取材場所
本記事の取材場所は埼玉県越谷市下間久里(しもまくり)にある自家焙煎珈琲店・珈家(かや)。写真及びハンドドリップの動画は珈家のマスターの許可を得て撮影した。
参考資料
本記事を作成するにあたって、引用した箇所がある場合は文中に出典を明示した。参考にした文献は以下に記す。
・成美堂出版編集部(2015)『珈琲の大辞典』成美堂出版.
・西東社編集部(2017)『極める 愉しむ 珈琲事典』西東社.
・ジェームズ・ホフマン著/丸山健太郎監修(2020)『ビジュアル スペシャルティコーヒー大辞典 2nd Edition』日経ナショナル ジオグラフィック社.
・アネット・モルドヴァ著/丸山健太郎監修(2021)『新版 THE COFFEE BOOK』誠文堂新光社.